新型コロナウイルスによる感染拡大が続く中国から、製品などを輸入する日本企業は1万9718社にのぼることが帝国データバンクの調べでわかった。2020年2月12日の発表。
詳細な輸入元が判明している約5000社のうち、最も多かった都市は「上海市」で2010社。新型コロナウイルスの震源地である「武漢市」からの輸入企業は25社だった。
自動車向け素材、機械に食品分野...... 多岐にわたる輸入品
中国からの輸入で、「上海市」に次いで多かったのは「大連市」で741社。以下、「青島市」の433社、「蘇州市」の426社と続いた。沿岸部、とりわけ上海市北部の江蘇省を輸入元とする企業が多くみられる。
内陸にある新型コロナウイルスの震源地「武漢市」からの輸入企業は25社が判明。品目は、産業資材や自動車部品、はちみつなどがある。
日本貿易振興会(ジェトロ)によると、新型肺炎をめぐり上海市や江蘇省では、感染防止物資の供給強化や新たな融資など企業の操業再開に向けた支援策を打ち出している。
業種別では、「卸売業」が最も多く1万1730社。その内訳は、「洋服卸売」(1292社)、「産業用電気機械器具卸」(863社)、「化学製品卸」(384社)、「生鮮魚介卸」(263社)など。
次いで多いのは「製造業」の4936社で、その内訳は「電子機器用部品製造」(200社)、「工業用プラスチック製品製造」(129社)、「がん具類製造」(112社)、「金型類製造」(104社)、「水産加工」(89社)など。自動車関連の素材や部品から食料品までと幅広い品目を、中国から輸入している。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中国では、交通網の遮断や従業員の出勤停止措置などが取られており、産業活動が通常に戻るには長期間を要するとみられる。
素材や部品供給を中国に依存する企業では不安が広がっており、日産自動車では中国からの部品供給が滞っているため、一部工場で操業停止の方針を打ち出すなど影響も出ている。
なお調査は、帝国データバンクが保有する約146万社の企業概要データベースと、約180万社の信用調査報告書ファイルをもとに、香港とマカオを除く中国から製品などを輸入する日本企業について行った。
中国は最大の貿易相手国
ジェトロによると、中国は米国と並ぶ日本の最大貿易国の一つ。2018年の輸入は1735億3868万ドル。前年比5.5%増で2年連続の増加だった。
一方、輸出は1802億3425万ドル。前年比9.3%増で、こちらは3年連続増加。総額3537億7293万ドルで前年比7.4%増。3年ぶりに増加に転じた前年に続き増加を維持した。
日本の貿易相手国として中国は2001年以降、輸入、輸出ともシェアを拡大。00年に輸入元として米国(19.0%)に次ぐ2番目(14.5%)だったが、02年には18.3%で米国(17.1%)を抜き「最大輸入元」になった。
その後は、2位米国との差を広げながら1位をキープしている。
2004年以降はシェアで20%を下回ることはなく16年には25.8%までに拡大した。この間に米国からの輸入はシェア10%を下回ることもあった。18年の日本の輸入全体に占める割合は、中国23.2%、米国10.9%。
輸出先としては、2000年に全体の6.3%で、米国(29.7%)、台湾(7.5%)、韓国(6.4%)に次ぐ4番目。09年に18.9%となり、米国(16.1%)を抜いて1位に。その後、12年まで18~19%で1位を続けた。13~17年までは米国に1位を譲ったが、18年には19.5%で米国(19.0%)を再逆転した。