「認知症」はいまや身近な病気 あなたが罹ったら、どうしますか?(鷲尾香一)

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認知症になっても「今までの暮らしを維持したい」

   その一方で、「あなたが認知症になったとしたら、どのように暮らしたいか」との質問に対しては、「医療・介護などのサポートを利用しながら、今まで暮らしてきた地域で生活していきたい」が28 .9%(同30.3%)と最も多く、「周りの人に迷惑をかけてしまうので、 介護施設で必要なサポートを利用しながら暮らしたい」の27.7%(同27.5%)を上回っており、他者に対しては「介護施設に入ることは必要」としながらも、自らの場合には、「今まで暮らしを維持したい」と考えているようだ。

   また、自らが認知症になった場合の不安(複数回答)については、「家族に身体的・精神的負担をかけるのではないか」が73.5%(同74.9%)が最も多く、次いで、「家族以外の周りの人に迷惑をかけてしまうのではないか」が61.9%(同56.5%)、「家族や大切な思い出を忘れてしまうのではないか」57.0%(同55.8%)、「買い物や料理、車の運転など、これまでできていたことができなくなってしまうのではないか」56.4%(同56.8%)の順となっている。

   大多数が「家族への負担」や「迷惑をかける」ことを心配している一方で、「記憶障害」や「運動障害」に恐れを抱いていることがうかがえる。

   この傾向は、家族が認知症になった場合の不安(複数回答)でも同様で、「ストレスや精神的負担が大きいのではないか」が65.1%(同62.5%)が最も多く、次いで、「家族以外の周りの人に迷惑をかけてしまうのではないか」58.3%(同 51.4%)と続く。また、「経済的負担が大きいのではないか」も49.7%(同49.9%)と大きな割合を占めている。

   筆者は認知症だった母親を看取った経験があるが、一概に「認知症」と言っても、症状は人によってさまざまで、治療による効果にも個人差がある。

   認知症に対して必要以上の不安を持つことがないように、正確な知識と認知症患者に対する接し方を学ぶことが必要と考える。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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