米ダウ平均が落ちれば、円高ドル安が必至
米大統領選挙は、いわゆる「スイング・ステート」と呼ばれる4~6州の結果で決まるということが広く知られています。ニューヨーク州やカリフォルニア州は、常に民主党候補が勝ちますし、テキサス州始め米国の中央の州は共和党が強い。では、スイング・ステートにおける有権者はトランプ大統領の4年間に満足しているかというと、そんなこともないようです。
中国が大量に農産物を輸入することになりましたが、実行されるかどうかわかりません。製造業の雇用が本格的に戻っているわけでもありません。
左派系候補、特にサンダース氏が大統領になるという可能性が現実味を帯びてきた場合、金融市場は大揺れに揺れるでしょう。米ダウ平均株価が1万ドル落ちるということも、あながち大袈裟ではないからです。
金融市場は、左派系候補勝利の確率が30%でもあれば、その30%分を織り込みに行きます。仮にトランプ大統領勝利の際の米ダウ平均株価の適正値が3万ドル、左派系候補の場合2万ドルとすれば、左派系候補が勝利する確率が30%あると考えれば、米ダウは2万7千ドルぐらいで取引されるべきとマーケットは考えます。
確率が半々となれば2万5000ドルに落ちます。これは、かなりのリスクです。そうなると、為替市場もリスクオフ的な動きとなるでしょう。円高リスクが高まります。
仮にダウが2万5000ドルを割り込み、2万ドル方向を試すような局面があれば、当然ドル円も100円方向を試すことになり、豪ドル円は70円を割って、さらに下がることになります。
現在、新型コロナウィルスの悪影響で、市場は揺れています。この影響を十分に見通すことは現状難しいですが、SARSよりも深刻化する可能性が高まっています。SARSの時は3~4か月で終息を宣言しましたが、今回の新型コロナウィルスは感染しても発病しない人がいるという特徴があり、これでは感染拡大を阻止することは難しい。ただ、発病しても軽く済む人も多く、あまり深刻に考えなくてもよいと世の中全体の認識が変わる可能性もありますが、時間はかかるでしょう。
サプライチェーンが分断され、中国の内需が冷え込み、日本国内のインバウンド需要にも深刻な影響が出てくるとなると、短期的な景気後退は避けられないといえます。ただ、その分のリバウンドは、問題解決後は当然でてくるので、それはそれで楽しみではあります。(志摩力男)