2020年初から、イランのソレイマニ司令官が殺害されたり、新型コロナウィルスの感染が広がりを見せたりと、まったく予想できない事象が起こり、マーケットを揺らしています。
これまでの市場予想というのは、経済指標などの分析を積み上げて構築していましたが、そうした分析では予想困難な、「経済」ではなく「政治」がマーケットを大きく動かす時代になってきたなと痛感させられます。
その意味では、市場予想、分析は無力であり、次々と起こる政治事象に、どのように対応していくかが問われるのが「2020年の為替相場」ということになりそうです。
「左派リスク」が顕在化する米大統領選!
2020年の「相場展望 その1」では、トランプ大統領の再選を前提に、比較的穏やかな1年を想定して、予測しました。大きな事件が起こらなければ、高い米国株を背景にリスクオン的な世界が続くでしょう。しかし、米国株は割高な領域に入り、それでも「ロングをやめると他者に負ける」という握力勝負の世界、何か想定外のことが起これば、一気に投げ売りになってしまうリスクをはらみます。
それでは2020年のリスクはどこにあるのでしょうか――。北朝鮮リスク、中東リスク、中国経済の急減速リスク、貿易合意の伴わない英国離脱リスク、そして現在の新型コロナウィルスによるリスクなど、さまざまなリスクがありますが、私自身は米大統領選挙における「左派系候補」躍進が最大の、しかもかなり現実的なリスクだと思います。
米大統領選挙は4年ごとに、11月の第1火曜日に投票されることに決まっています。今年の場合は、11月3日です。それまでに各地で予備選挙が行われますが、共和党の候補は現職トランプ大統領に決まっています。
対する民主党の候補者ですが、現在のところバイデン氏(28%)、サンダース氏(22%)、ウォーレン氏(15%)、ブルームバーグ氏(8%)、ブティジェッジ氏(6.7%)などの、多くの候補者が乱立している状況です(数字は各候補の支持率、米政治サイトReal Clear Politicsから)。
今のところ、元副大統領であるバイデン氏がリードしています。比較的中立的な立場なので、多くの支持を得られやすいということで、トランプ大統領に対する最も有力な対抗馬となっていますが、高齢であること、そして演説に迫力、気力がないことから、リードを維持できるのか懸念されています。