コロナウイルス拡大で「Tokyo2020は大丈夫か?」 海外メディアは不安モードいっぱい(井津川倫子)

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   東京オリンピック・パラリンピックの開幕まであと半年。新型コロナウイルスの感染が拡大するにつれ、海外のメディアが「Tokyoは大丈夫か?」と報じ始めました。

   大会関係者は「対策にしっかり取り組む」とアピールするものの、日本での感染者が増えるのに比例して、不安視する声も増すばかり。はたして、「Tokyo2020」は本当に大丈夫なのでしょうか? 海外メディアの報道を追ってみました。

  • コロナウイルスの感染拡大、海外メディアが心配するけど……
    コロナウイルスの感染拡大、海外メディアが心配するけど……
  • コロナウイルスの感染拡大、海外メディアが心配するけど……

コロナウイルスが「東京に冷たい水を注ぐ」?

   「Tokyo2020は大丈夫か?」の声が目立ち始めたのは、皮肉にも大会組織委員会の「安全宣言」がきっかけでした。東京パラリンピックの準備状況を確認する会議が始まり、その中で、「新型コロナウイルスによる感染拡大は大変心配」なものの、「対策に万全を期す」との考えを強調したのです。

   関係者としては「Tokyo2020は大丈夫!」というポジティブなメッセージを発信したつもりだったのでしょうが、残念ながら海外メディアには、とんだヤブヘビでした。

Tokyo 2020 organizers 'seriously worried' about impact of coronavirus on Olympics
(東京五輪・パラリンピックの主催者たちは、コロナウイルスの影響を「大変心配している」:英紙The Guardian)
organizer:主催者
be seriously worried:真剣に悩む、本気で心配している
impact on:~への影響、インパクト

Tokyo 2020 is under threat from corona
(東京五輪・パラリンピックは、コロナウイルスの恐怖にさらされている:英ネットMetro)
under threat :危機にひんして、恐怖にさらされて、おどされて

The spread of the infectious virus could pour cold water on momentum for the Games
(感染症の拡大は、大会の機運の盛り上がりに水をさす恐れがある:英BBC放送)
pour cold water on:~に水を差す momentum:機運

   なるほど、「水を差す」は、英語でも「pour cold water」(冷たい水を注ぐ)と言うのか...... などと感心をしている場合ではありません!

   「コロナウイルスの恐怖にさらされている」だの「大変心配だ」など、不安をかき立てるような表現ばかりが目に付きます。

   もちろん、記事のなかでは「万全の対策を取る」という「安心面」にも触れているのですが、全体としては「Tokyoよ、大丈夫か!」と不安視する声が多勢を占めている様子。日本国内ではあまり報じられていない海外の「ネガティブな反応」に、私まで不安な気持ちになってしまいました。

小池都知事は「手を洗いましょう」と言うけれど......

   このニュース、米ニューヨークタイムズ紙は大会組織委員会ではなく、小池百合子東京都知事の発言にフォーカスしました。

「Wash Your Hands」 Tokyo Governor to Residents Ahead of Olympics as Coronavirus Spreads
(「手を洗いましょう」コロナウイルスが拡大するなか、東京都知事が五輪前に都民に呼びかけ)

   みなさんは、この見出しにどういった印象を抱きましたか?

   この「手を洗いましょう」記事は、ロイター通信が発信したもので、ニューヨークタイムズ紙だけではなく、他国のメディアにも掲載されています。小池都知事が五輪会場の完成式典で「コロナウイルスの拡大を防ぐために、手洗いとマスク着用を」と呼びかけたのですが、うがった見方をすれば「五輪開催の対策として手を洗おう」と奨励しているようにも読み取れます。

   何も知らない海外の読者に、「えっ、東京都は『手を洗う』くらいしか対策がないの?」と不安を与えてしまうようで、個人的には「ちょっと、ニュアンスが違うのでは?」と疑問を感じてしまいました。

   あまりにもコロナウイルスの影響を不安視する報道にばかり触れてしまい、ひがみっぽくなってしまったのかもしれませんが(笑)。

   東京五輪・パラリンピックへのコロナウイルスの影響を不安視する海外メディアの報道は、横浜港沖合に停泊していたクルーズ船での集団感染のニュースが一つのきっかけではありました。地理的にも中国に近い日本。海外から見たら「Tokyoは大丈夫か?」と不安に思うのでしょうか。

   それでは、「今週のニュースな英語」、「pour cold water」(水を差す)を取り上げます。文字どおり「cold water」(冷たい水)「pour」(注ぐ)、という意味ですが、「けちをつける」など否定的な意味合いで使います。

Please don't pour cold water.
(けちをつけないで下さい)

前置詞の「on」を使うと、「~にけちをつける」となります。
Please don't pour cold water on the conversation
(人の話にけちをつけないで下さい!)

動詞を「throw」(投げる)に変えても意味は同じです。
Please don't throw cold water on my idea.
(私のアイデアにけちをつけないで下さい!)

   すでに、いくつかの競技の選考大会がコロナウイルスの影響で延期になるなど、東京五輪・パラリンピックへの影響が出始めています。世界保健機構(WHO)が「デマに気をつけて」と警告していますが、もしかしたら「Tokyo2020」への影響は、私たちが思っている以上に深刻かもしれません。(井津川倫子)

kaisha_20170303104637.png
井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
姉妹サイト