感染防止に役立つキャッシュレス化が進む?
さて、今回の新型肺炎騒動が日本経済の意外な側面に与える影響に着目したのが、野村総合研究所(NRI)のレポート「新型肺炎がキャッシュレス化議論にも影響か」(2020年2月3日)だ。キャッシュレスが進めば、現金を手で取り扱うより、ウイルスに感染するリスクが減るのでは、とエグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏が指摘する。
「今般の新型肺炎の広がりは、実店舗などでの我々の代金の支払い方法、つまり小口決済手段のあり方についての議論に、新たな論点を提供する可能性がある。つまり、一部の研究者が指摘する、現金が細菌やウイルスの感染を媒介してしまうリスクである」
木内登英氏は、紙幣が細菌やウイルスの巣窟になっているという米国と香港の研究や、紙ではなくプラスチック紙幣が細菌を増殖しにくくするという研究を紹介したあと、こう結ぶのだった。
「今回の新型肺炎の広がりを契機に、キャッシュレス化の議論、そして現金の素材に関する議論の中に、衛生面での課題を新たに組み入れていくことは、重要なのではないか」