世界で広がる経済格差 上位2100人の「富」が46億人分の資産を上回る現実のウラ側(鷲尾香一)

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   「世界の富裕層の上位2100人の資産が世界の総人口の6割にあたる46億人分の資産を上回る」――。国際的なNGO(非営利組織)の「オックスファム」が2020年1月20日、ダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)に合わせて発表した最新の報告書で、こんな衝撃的な推計が明らかになった。

   オックスファム・インターナショナル(Oxfam International)は、貧困と不正を根絶するための持続的な支援・活動を90か国以上で展開している団体で、例年、ダボス会議の開催に合わせて経済格差に関する報告書を発表している。

  • 世界中で経済格差が広がっている
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富裕層の多くが意図的に税金逃れ

   この報告書によると、2019年時点で10億ドル(約1100億円)以上の資産を持つ富裕層2153人の富の合計が、世界の総人口の6割にあたる約46億人分の資産の合計を上回っているとし、「富裕層とその他の人々の格差は想像を絶する規模になっている」と指摘している。

   その一例として、世界で最も裕福な1%の持つと富の合計は、その他の69億人が持つ富の合計の2倍以上となっていることや、世界で最も裕福な22人の男性の富の合計は、アフリカのすべての女性が持つ富よりも大きいことをあげている。

   そして、世界で経済的な格差が広がっている一因として、富裕層や大企業向けの優遇税制が行われていることや、富裕層の多くがタックスヘブンなどを利用して、意図的な税金逃れを行っていることをあげ、富裕層は本来支払うべき税額のうち、3割にあたる額を逃れている、としている。

   もし、上位1%の富裕層の富に今後10年間、0.5%の税金を追加すれば、教育、医療、高介護などの分野で1億1700万人の新たな雇用を創出できるようになると指摘している。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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