政府による高齢者の就労機会の確保に向けた施策の推進に7割以上の人が賛成するなか、70歳まで就労できる制度がある職場は、全体の40.9%だった――。日本労働組合総連合会(連合)が高齢者雇用について調べ、2020年1月31日に発表した。
また、70歳まで働けない理由の1位は「制度がない」から。70歳まで働ける職場が、職種によってバラつきがある実態も明らかになった。
70歳まで働けるのは「サービス」「警備」「清掃」
調査は、連合が高齢者雇用に関する意識や実態を把握するため、全国の45歳から69歳の1000人に聞いた(2019年12月18日~20日に実施)。それによると、「現在自分が勤めている職場で70歳まで就労できる制度があるか」聞いたところ、「ある」が40.9%、「ない」は59.1%だった。
職種別でみると、「ある」と回答した人の割合が高いのは、サービスや警備、清掃(67.2%)や、土木・建設、農水産(56.7%)、専門職(53.3%)、医療・介護・福祉(52.5%)、販売(50.0%)で、半数以上となった。
「ない」とした人の割合が高いのは、IT・エンジニア(25.0%)や営業(29.5%)だった。70歳までの就労制度の有無については、職種によって、かなりバラつきがあることがうかがえる。
また、今の自分の勤め先で70歳まで就労できると思わない人(570人)に、その理由を聞くと、「70歳まで働ける制度がない」が56.5%で最も高く、次いで「体力に自信がない」が37.4%、「処遇が低い」が25.3%だった。
そもそも「制度がない」という理由のほか、体力面での心配や処遇の低さを理由にするケースが多かった。
男女別でみると、「体力に自信がない」は女性が47.2%、男性の28.7%と比べて、18.5ポイント高い結果となった。長く働けない理由として、体力面をあげるのは男性より女性が多かった。
「若い世代の就職の機会奪う......」反対の声も
一方、政府による高齢者の雇用拡大の議論が進んでいることを知っている人は、69.8%にのぼる。また、70歳までの就労機会の確保に向けた施策の推進については、「賛成」が71.4%で、「反対」は28.6%。多くの人が肯定的にとらえているようだ。
その理由を聞いてみると、
「いずれ年金の支給開始が70歳からになると思うから」
「労働力不足の解消と、技術の伝承が必要だから」
「働くことで、社会との接点をもてるから」
「働ける環境があれば、働きたいと思う人はいる」
といったコメントが多かった。
また、反対の理由をみると、
「年金受給の先送りにつながるから」
「若い世代の就職の機会を奪うことにつながるから」
「企業の受け入れ態勢が整っているとは思えない」
「働かなくても安定した生活ができる制度を望んでいるから」
というコメントが寄せられた。