今春復活!「半沢直樹II」に期待する「脱日本的金融」へのヒント どう築く? 新たな銀行との関係(大関暁夫)

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「日本的金融」に苦しめられた佃製作所やこはぜ屋

   この「裏銀行モノ」にこそ、半沢直樹が対峙する昭和から脈々と続いている銀行が抱えてきた問題点の集約を、みることができます。それはまた、ここ数年来、銀行改革を声高にアナウンスしている監督官庁である金融庁が指摘している銀行業務における重要な改善点でもあり、企業人はじめ一般の人たちに銀行が抱えている問題点を正しく理解してもらうヒントをはらんでもいる、と言っていいでしょう。

   この点に関する金融庁の具体的な物言いは、「脱日本的金融」という言葉で表現されています。「日本的金融」とは何か――。金融庁の定義では、「決算書や担保や人的補償に依存した融資審査姿勢」です。

   まさに半沢直樹の父親が自殺した原因は、この融資審査姿勢であり、「日本的金融」の犠牲になった父の恨みを晴らしに、彼は銀行に入ったというのが、大ヒットした前回シリーズでのストーリー背景でもありました。

   金融庁が主張する「脱日本的金融」の方向感はすなわち、これまでの銀行審査の常識は今後変えなくてはいけない、ということなのです。つまりは、「下町ロケット」の佃製作所も「陸王」のこはぜ屋も、この「日本的金融」に苦しめられ、そこからいかに脱するのかを模索する中で、「脱日本的金融」に則った融資審査に持ち込むことで一定の到達点に至ったという物語であるわけなのです。

   本来、銀行は企業とどのように付き合うべきなのか、あるいは企業は旧態然とした銀行の風土をいかにして変えていくべきなのか、そんなヒントがこれらのドラマからは感じ取ることができたと私は感じました。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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