日本製品への不買運動の動きは、まだまだ収まっていないようだ。
残念なニュースが飛び込んできた。日本のチョコレートブランドの韓国からの撤退と、韓国の高校生に人気だった大学の日本関連学科の入試の競争率が大幅に下がったというのだ。
いったいどうなっているのか。韓国紙で読み解くと――。
日本の高級チョコ「ロイズ」3月末に韓国全店を閉店
北海道が本拠地のチョコレートブランド「ロイズ」の韓国撤退を、2020年1月29日付の聯合ニュースが「チョコの『ロイズ』 3月で韓国全店閉鎖=日本製品不買運動が影響?」の見出しで、こう伝える。
「日本のチョコレートブランド『ロイズ』が今年(2020年)3月末までに韓国の全店舗を閉鎖することが1月29日、わかった。事実上、韓国事業から撤退する。ロイズコンフェクトは北海道のチョコレートメーカー。ロイズコンフェクトコリアはこのほどホームページで、営業終了を告知した。インターネット通販は2月18日、ソウルの狎鴎亭店と京畿道の板橋店は2月15日に閉店する。そのほかの実店舗も3月中にすべて営業を終了する。
営業終了の理由は説明していない」
「韓国でロイズは「日本旅行土産の高級チョコレート」として知られている。業界の一部では、昨年(2019年)後半から広がった日本製品の不買運動が影響したとの見方も出ている」
ロイズコンフェクト(札幌市北区)のホームページによると、同社は「北海道の地で本場・ヨーロッパに負けないチョコレートをつくりたい」という思いで1983年に創業。「クオリティ」「オリジナリティ」「プライス」を理念に生チョコレートをはじめとする菓子を製造・販売。「生チョコレートオーレ」「生チョコレート抹茶」「ポテトチップチョコ」などが人気で、北海道内の空港や土産店に主力商品を置き、通販にも手を広げている。シンガポールや米ニューヨークなどにも出店している。
日本関連学部の競争率が軒並み半分以下に
もう一つの残念なニュースは、韓国経済が報じる「韓日貿易葛藤の影響...... 韓国の大学、日本関連学科の競争率急落」(2020年1月28日付)という記事だ。
「今年、韓国外国語大学と釜山(プサン)外国語大学の日本関連専攻の新入生志願競争率が前年度に比べて大幅に低下したことがわかった。特に、昨年9月から願書受付が始まった随時選考では競争率が半分になった専攻が続出した。昨夏に日本の輸出規制措置によって深刻化した韓日の緊張関係が学生の進路選択にも影響を及ぼしたという分析だ」
韓国の大学の日本関連学部は、日系企業も含めて安定した就職率を誇っていたため、競争率が高いのが特徴だったのだ。それがガクンと落ちたという。
具体的には1月27日時点で、韓国外国語大学の日本言語文化学部の志願競争率は4.2対1で、前年度(11対1)に比べて半分以下に落ちた。同じく融合日本地域学部は11対1から5.6対1に半減。日本語通翻訳学科は9.1対1が3.4対1の3分の1以下に大幅に下落した。
韓国外国語大学の関係者は「他の専攻とは違い、わずか1年で日本関連の専攻競争率だけ大幅に落ちた現象は、日本との貿易活動抜きには説明できない」として、「学生が専攻を選択するとき、当時の国際情勢が大きく影響を及ぼしたものとみられる」と話したという。
韓国経済はさらに続ける。
「釜山外国語大学も内情は同じだ。日本創意融合学部の志願競争率は昨年度(2019年度)の5.3対1から今年度(2020年度)は2.6対1へと半分の水準に落ちた。ほかの学部も軒並み大きく下落した。その余波は、学院(塾)街にも及んだ。日本に留学しようとする韓国の学生数の減少が顕著だったことが分かった。ソウル鍾路区(チョンノグ)のある日本留学専門学院関係者は『短期語学研修に行こうとする学生は昨年下半期から3分の1の水準に減った。日韓対立の余波が今でも長引いている』と話した」
(福田和郎)