新型コロナウイルスによる肺炎の感染が、世界中に拡大している。WHO(世界保健機構)が緊急事態を宣言したこともあり、世界的に実体経済への悪影響が警戒されている。リスク回避的な「円買い」が直ちに縮小する可能性は低そうで、世界同時株安が進んだ。新型肺炎の拡大による経済的な影響は未知数とされる。
どうなる? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 春節明けの上海株式市場に注目
日経平均株価予想レンジ:2万2500円~2万3500円
2020年1月31日(金)終値 2万3205円18銭
今週の東京株式市場の日経平均株価は、新型肺炎の感染拡大の歯止めにメドが立たないことから、引き続き上値の重い展開が続きそうだ。
前週の日経平均株価は、中国で発生した新型コロナウイルスによる新型肺炎の感染の拡大に歯止めがかからないことが、投資家心理を後退させる要因となり、2週間連続での下げとなった。また、月間ベースでも5か月ぶりの下落となった。
今週の日経平均株価は、2週連続で大きく下げた自律反発も期待できそうだが、新型肺炎の感染拡大の歯止めにメドが立たないことから、上値の重い展開となりそうだ。
WHO(世界保健機関)は緊急事態宣言を発令し、各国に対して新型肺炎感染の終息に努力するよう促しているが、今のところメドは立っておらず、この問題が経済に与える影響が強く懸念され始めている。
注目は3日に春節(旧正月)明けの中国・上海株式市場の再開。上海市場が大幅に下落して始まるようだと、各国の市場に悪影響を与えそうだ。国内では、企業決算が本格化し始めるため、企業業績が材料になりそうだ。また、4日にはトランプ米大統領の一般教書演説が予定されており、その内容に注目したい。
東京外国為替市場 米中の経済指標に要注意
ドル・円予想レンジ:1ドル=107円50銭~109円50銭
2020年1月31日(金)終値 1ドル=108円38銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、引き続きドルが弱含みの展開となりそうだ。
前週のドル円相場は、新型コロナウイルスによる新型肺炎の感染の拡大によるリスク回避の円買いが強まり、ドルは弱含みで推移した。FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が1月30日の記者会見で、新型肺炎問題の先行きに懸念を示したことも、ドルの売り材料となった。
今週のドル円相場は、新型肺炎の感染の拡大に歯止めがかからないことから、リスク回避のドル売り圧力が継続しており、ドル弱含みの動きとなりそうだ。新型肺炎が経済にどの程度の影響を与えているのかは明確ではないが、米国や中国の経済指標には注意が必要だろう。
経済指標は、国内では3日に1月の新車販売台数、7日には12月の毎月勤労統計調査と家計調査、景気動向指数などが予定されている。
海外では、4日に1月の米国ISM製造業景況指数、5日に12月の米国貿易収支、1月の米国ADP雇用統計、7日に1月中国貿易収支、1月米国雇用統計などが予定されている。
(鷲尾香一)