派遣社員の「キャリア開発」のための「ハケン2.5」
派遣社員に寄り添いキャリア開発を導く(アデコの川崎健一郎社長)
――アデコは派遣社員の新しい働き方として独自に「ハケン2.5」というサービス導入しているとうかがいました。「ハケン2.5」の特徴と狙いを、教えてください。
川崎健一郎社長「これは、ひとつの派遣先で2年半(2.5年)以上継続して勤務している実績があれば、どの派遣会社に所属していても当社の無期雇用の派遣社員として迎え入れる制度です。『ハケン2.5』の『2.5』は、この2.5年を意味しています。 当社からの派遣実績がない方を無期雇用の派遣社員として採用するのは初の試みだったため、サービス立ち上げにあたっては社内でもかなり議論がありました。しかし、当社のビジョンに照らしたときに、今まで私たちとのかかわりがなかったからといって、その人のキャリア開発の道を閉ざしてしまうのは、ビジョンに反するのではないかと考え、実施に踏み切りました。サービス開始発表直後から大きな反響があり、実際に『ハケン2.5』で無期雇用に転換する方も増え続けています」
―― 同一労働同一賃金が今年4月より始まりますが、どのように対応しますか。
川崎社長「同一労働同一賃金制度の導入は、年功序列型の職能給から、ジョブ型の職務給への転換を意味していますが、当社で過去6年間にわたって運用している『キャリアマップ』は、職務給の考えに基づいて設計されています。そのため、同一労働同一賃金も非常にスムーズに導入することができました。人材サービス業界の中でも、当社はかなり早い段階から取り組みを始めていたと思います。 2019年は当社の派遣登録者と派遣先企業向けに合計300回以上の説明会を開催しました。同一労働同一賃金は非常に関心の高いトピックで、定員以上の申し込みをいただくこともかなり多かったです」
―― 派遣社員のこれからのサポートついて、どのようにお考えですか。
川崎社長「5年後、10年後のキャリアを考えるのは誰にとっても簡単なことではありません。常にアンテナを張り、セルフマネジメントでキャリア開発をするというのはなかなか難しい。当社は派遣社員へのコーチングを通じて気づきを促しながらチャレンジしていけるよう導いていき、一人ひとりが理想のキャリアや働き方を実現できるようにこれからもサポートしていきます」