「妻の思いをくんで夫が転職する方法もありますよ」
―― 一方、投稿者に共感する人の中には、「私も東京育ちだから地方生活は無理」とか「私の夫に転勤に付いていったが引っ越しウツになった」などの意見もあります。こうした意見についてはどう思いますか。
川上さん「地方に移り住むことに対する抵抗感は、人によって大きく異なります。平気だ、楽しみだ、という人もいれば、とてもつらい、心の底から嫌だ、という人もいるはずです。怖いのは、実際にウツになられた人がいるように、無理して移り住んだ後に、心身を壊してしまうケースです。人によって抵抗感はさまざまであることを考えると、本人の意思に反して無理強いすることのリスクについて認識しておく必要があると考えます。それは専業主婦だろうが、もともと働いていた人だろうが同じことです」
――確かにそうですね。私自身は東京生まれの東京育ちですが、地方に3か所、計6年間赴任しました。どこも楽しくて、楽しくて仕方なく、今でも懐かしく思い出します。しかし、同僚の中には地方勤務がイヤで、イヤで仕方なく、退社した者もいました。ところで、川上さんならこの投稿者にどうアドバイスしますか。
川上さん「まずは正直に、地方に移り住むことに強い抵抗感があることを夫に伝えたほうがよいと思います。感情的に嫌だとはねつけるのではなく、冷静にご自身の本心を知ってもらうことが大切です。夫としても、そこまで強い抵抗感があるとわかれば無理に連れていきたいとは思わないはずです。
そのうえで、それでもついてきて欲しいのであれば、夫もその理由を説明するでしょう。投稿者さんも、いかに地方に移り住むことが強いストレスになるのかを丁寧に説明し、互いの正直な気持ちを伝えあう中で、夫婦にとってベストな解決策を探る話し合いができることが大切だと思います。その中で、夫の転職なども一つの解決策として検討されるとよいでしょう。
夫としても、じつは転勤が嫌で悩んでいる可能性もあります。もしそうであれば、思い切って転職する道を選ぶのも選択肢に入ってくるはずです。いずれにせよ、今の仕事に対する夫のこだわりと、東京に住み続けることに対する妻のこだわりを互いに率直に伝えあい、夫婦が互いに納得できる結論を一緒に探す必要があるのだと思います」
(福田和郎)