500人を超す管理職に、「管理職になりたいと考えていたか」と聞いたところ、じつに4割近くの人が「管理職になりたくなかった」と回答していることがわかった。経営者からのプレッシャーが強いらしい。
リーダー層に必要な能力を測定するツールを専門的に研究・開発している「インバスケット研究所」が、働き方改革施行から間もなく1年となるタイミングをとらえて、管理職の「実態」と「本音」に関するアンケート調査を実施した。2020年1月27日の発表。
40~50代、約5割が「不満」表明
調査によると、「管理職になりたいと考えていたか」と聞いたところ、全体の8.4%が「なりたくなかった」、29.1%が「どちらかというと、なりたくなかった」と回答。合わせて約4割が、望まないながら管理職に就いていた。
「望まない管理職」に就いている人に今後のプランについて聞くと、「現状維持」が42.7%で、「さらなる昇進」を望む人は18.3%。その上の「経営層への昇格」を目指している人は9.0%だった。
一方、「転職」を考えている管理職は16.9%。「独立・起業」の11.9%を合わせて、3割近くが社外への転出を考えていた。
管理職というポジションへの満足度をみると、こちらは年代でバラツキがあった。「管理職を経験した現在、現状の業務・待遇に満足しているか」という問いに対して、20代では「満足している」(10.3%)「どちらかというと満足している」(74.4%)を合わせ、84.7%が満足を表明した。
ところが、30代では65.7%(「満足している」が17.1%、「どちらかというと満足」が48.6%)、40代は50.0%(同15.2%、同34.8%)、50代が47.2%(同13.5%、同33.7%)と、年代が上がると満足度が後退。40~50代では約5割が「満足していない」「どちらかというと満足していない」のいずれかの回答を選んだ。
「部下の育成」接し方でも悩み
管理職を経験した現在の不安や不満について聞くと、20代は「部下の育成」が38.5%。30代は「業務量の増加」が35.7%で、それぞれの1位だった。
40代は「業務量の増加」と「経営者からのプレッシャー」がともに45.7%で同率1位。50代では「経営者からのプレッシャー」(36.0%)と「部下の育成」(34.8%)、「業務量の増加」(31.5%)が拮抗した。
60代は「経営者からのプレッシャー」が40.8%で、断トツ首位だった。
こうした調査から、インバスケット研究所では「『経営からのプレッシャー』『部下の育成』また、さまざまなハラスメントが取り沙汰される中での『部下との接し方』など、悩みが尽きない状況が示された」とみている。
なお、調査は2019年12月16、17日の両日、インターネットを通じて「管理職の実態に関するアンケート」(509人回答)と「管理職の本音に関するアンケート」(504人回答)の2本立てで実施した。