とっておきの「アメリカ史」、売れるとちょっと寂しい?
店内を案内してもらう中で、「アメリカ史」コーナーには、特にスペースを割いていた。話を聞くと、南北戦争や西部開拓時代のアメリカが今松井さんの中で興味深いテーマだという。
「昔からその周辺の時代のものに興味があるんです。自然と多く集まってしまいました。この棚が一番のお気に入りというか、大事に思う本が集まっています。古書店を営業する上で、自分の中の好奇心は大切にしようと思っています。お気に入りの本は売れるとうれしい反面、ちょっと寂しいですね......」
と、笑いながら言う。
松井さんのまとう穏やかな空気感と真摯な好奇心が、山吹書房を形作っているように感じる。のんびりした口調と、少し照れ臭そうに笑う顔が印象的。賑やかなすずらん通りを少し外れれば、小さな店内に悠久の時間がおっとりと流れる。(なかざわとも)