技術者が語るSDGsのゴールとは......
竹の振動板を採用したスピーカー「Vuillaume homage」の評価は、欧州から音楽情報を発信されているスイス在住の音楽ジャーナリストの中東生(なか・しのぶ)氏からは、「発せられる臨場感は想像を超えている」との感想を寄せている。その中氏の協力のもと、今年(2020年)はスイスオペラ座のシーズンオープニングイベントのほか、現地での音楽イベントへの出展を予定している。
さて、気になるお値段だが、スピーカー2本、CDレシーバー(専門店でのチューニング済み)、高音質スピーカーケーブル、電源ケーブル、木質流動成形で作ったインシュレーターのセットで32万円(消費税別)となっている。これを高いと感じるか、安いと感じるか、試聴の価値は十分にあるはず。
そんなスピーカーの宣伝はさておき、まだまだこの技術は越えなければならないハードルがあると、技術者の山田満雄試作・開発部長は語る。
安価なコスト、さらなる強度、耐久性の開発、耐水性、生分解、再加工......。課題は山積みだが、この技術を継承する人材の育成と未来の新しい素材の可能性、そして木質流動成形技術を通じて「未来のこども達に、つくる責任つかう責任(SDGsの17の目標の『12』)」を伝えるという、SDGsのゴールに向けた取り組みを語る山田氏。「今の学校の音楽室は音が悪すぎ。本当の音で、子どもたちに音楽の楽しさを知ってもらいたい」との思いも強く持っていて、そののワクワクした笑顔がまぶしく感じられた。
今後もチヨダ工業の開発チームから、どんな製品が世に出てくるのか目が離せない。(清水一守)
◆チヨダ工業株式会社
〈所在地〉〒470-0162 愛知県愛知郡東郷町春木岩ヶ根1番地東郷工業団地内
〈代表者〉早瀬 一明社長
〈設立〉1962年2月14日
〈資本金〉9000万円
〈事業内容〉プレス金型の設計・製作及び試作品製作
〈従業員数〉本社90人