【どうなる!? 子育て】ちぐはぐな教育現場 進む女性活躍の陰で浮き彫りとなる教師の「精神的」負担(鷲尾香一)

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進んでいる教育現場の女性活躍

   さて、学校という職場の社会的な取り組みがどうなのか――。女性の社会進出が言われて久しいが、2019年4月1日現在の女性の管理職(校長、副校長および教頭)は1万2808人で前年から638人増加した。女性管理職の割合は18.6%で、連続して過去最高を更新している。

   ただし、校長・副校長・教頭に占める女性の割合は各々、小学校が20.6 %、32.1%、27.0%と、中学校の7.4 %、15.1%、13.3%、高等学校の7.5%、10.9%、10.0%を大きく上回っている。

   ちなみに、都道府県別で校長に占める女性の比率が高いのは広島県の30.5%。石川県27.4%、神奈川県27.2%、富山県24.4%、高知県23.2%の順、低いのは山梨県7.0%、北海道7.9%、宮崎県8.2%、長崎県8.7%、福島県9.3%の順。女性比率がもっとも高い広島県の小学校では46.3%と、おおよそ2校に1校が女性校長となっている。

   また、校長・教頭ともに圧倒的に50歳代が多い中で、校長の最年少は40歳、女性では43歳、教頭の最年少は34歳、女性では38歳だった。

   厚生労働省の「平成29(2017)年版 女性活躍推進法に基づく取組状況」によると、日本の女性管理職の比率14.3%と比べると、教職員の女性管理職比率18.6%は高く、学校という職場は一般企業に比べて女性の社会進出が進んでいるようだ。

   また近年、社会的な取り組みの大きな指標でもある育児休暇については、育児休業などの取得割合は、男性で2.8%、女性で96.9%となっている。厚生労働省の「平成29年度 雇用均等基本調査」によると、育児休業取得率の平均は男性5.14%、女性83.2%で、教職員の女性の育児休業取得率は平均を大きく上回っている。

   こうして見ると、学校という職場は社会的な取り組みの面では一般企業よりも進んでいるものの、教師という仕事は精神的に大きな負担を抱えるものであることが浮き彫りになっている。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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