ビジネスの世界で生きる人なら「商標権」という言葉は知っているだろう。しかし、中小企業の経営者の多くがあまりにも無頓着で、パクリ被害に遭うケースが後を絶たないことから、特許庁がユニークな啓発PR動画を作った。
その名も「商標拳」というカンフー動画だ。いやあ、そのおもしろいこと、痛快なこと! とてもお役所の仕事とは思えないほどだ。2020年1月21日からインターネット上で公開している。
「フフフ、この世は弱肉強食よ」と悪徳社長はパクリ放題
特許庁によると、2018年の商標出願数は約18万4000件。中小企業全体の約358万社のうち出願しているのはわずか0.8%だ。出願数そのものも2013年に比べて5年間で1.6倍しか増えていない。
ところが今、出願数の急上昇が世界中のトレンドなのだ。特に中国は同じ5年間に3.1倍に、米国も2.9倍に増えている。これでは、日本の中小企業の商品がパクリにあっても仕方がない状況が生まれていると指摘する。
このPR動画「ビジネスを守る奥義『商標拳』」を作成したのは、鎌倉が本拠地の「面白法人カヤック」だ。古都鎌倉のユニークな紹介動画や、ゲーム・広告・Webサービスなど、おもしろくてバズるコンテンツを次々とリリースするクリエイター集団である。
ヒット商品の模倣品(パクリ)を防ぐためには商標権取得が必要だということを、正規品会社のおじさん社長と模倣品を製造する悪徳社長の、正と悪のストーリー仕立てで展開するカンフー動画。ワイヤーアクションやCGを使ったスピード感あふれる本格的アクションだ。「商標拳」を身につけたのおじさん社長が、パクリの悪徳社長と死闘を繰り広げる姿は、思わず応援したくなる
ストーリーはこうだ。とある中小企業のおじさん社長が生み出した「パンダの図柄」のヒット商品がパクリ被害にあう。
おじさん社長はパクった会社、その名も「模倣商事」を訪れて抗議する。現れたのはいかにもヤクザ風の悪徳社長。
悪徳社長「これは、これは、社長。何の御用かな」
おじさん社長「私たちが一生懸命に開発した商品をパクるなんて......」
悪徳社長「パクリではない! オマ〜〜〜ジュですよ」
悪徳社長は開き直ると、カンフーの技を繰り出し、おじさん社長を叩きのめす。そして、こううそぶくのだった。
悪徳社長「この世は弱肉強食! 先も後も関係なあ~~~い! 権利も契約もカネで買える!」