「潰し屋上司」は「プチエリート」育ち
「潰し屋上司」のような人格になってしまう人物には、「中学、高校と成績優秀で、周囲から日常的に褒められるのが当然のような生活を送るものの、大学受験や就活で第一志望に進めなかった」というような経歴をもつ「プチエリート」が多い。第二志望に甘んじることを余儀なくされ、以前のような「周囲に認められる存在」だった自分が忘れられず、そのころへの回帰を目指して必死になる。目的を達成するためには、他人の足を引っ張ってでもという状態になり、周囲のことなど意に介さなくなる。
もともとの頭のよさなどがプラスされ、会社で結果を残す運に恵まれれば「仕事ができる人」という評価を得て発言権を獲得。他人のことなどおかまいなしにポジションを得てきたのだから「部下を潰すことくらい、何とも思うわけがない」のだ。
若い頃からのバックグラウンドから、もう一つ特徴的なのは「人に認めてもらいたい」という承認欲求の強さ。屈折した経験から欲求は肥大化して社内だけでは満足させることができず、明らかに気乗りしていない部下を飲み会に誘い出しては武勇伝を披露。「すごいですね」と褒められるのを待っている。
「彼らは自分の成功が最優先で、他者を犠牲にする世界が常に正しいと考えており、部下をはじめとした他人の気持ちやペースに合わすことができない」という、本当に「非常に厄介な存在」。著者は「君子危うきに近寄らず」の精神を徹底するよう、アドバイスする。
「1万人超を救ったメンタル産業医の 職場の『しんどい』がスーッと消え去る大全」
井上智介著
大和出版
税別1500円