「年収が増える転職」どうしたらいい? エージェントが明かす「必須」の確認事項!

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   少子高齢化や人口減少、テクノロジーの進化で社会ともども、各産業の業界構造が変わりつつあり、労働者にとってはキャリア構築に転職が欠かせぬものになりつつある。

   転職には大変なエネルギーが必要なだけに、その機会をとらえて待遇面の向上、とりわけ収入アップをゲットしたいと考える人は少なくないはず。だが現実には、そうバラ色とはいかないらしい。本書「年収が上がる転職 下がる転職」は、経験豊富な転職エージェントが転職活動のリアルを解説した一冊。

「年収が上がる転職 下がる転職」(山田実希憲著) すばる舎
  • 内定したら「想定年収」や賞与を確認しよう
    内定したら「想定年収」や賞与を確認しよう
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著者自ら転職経験「生き方と働き方のズレ感じ」

   著者の山田実希憲(みきのり)さんは、自身も大学卒業後に就職したリフォーム会社からの転職組。新卒以来の勤続10年を過ぎたころから「生き方と働き方のズレを感じ」て悩むようになり、30代で初めて転職活動を経験した。しかし、それは自分と向き合う絶好の機会であることを実感したという。

   また、転職活動中に親身になってくれたエージェントと出会い、キャリア相談ができる相手の必要性や、自分の経験や市場価値を客観視することの重要性を肌で感じ、「自分と同じ悩みを抱える人を助けたい」と転職エージェントに転職した。これまでに累計5000人を超える転職希望者の相談を受けた経験を持ち、現在は、経営コンサルティングや人材紹介などにまで事業範囲を拡大している。

転職者の「6割」の給料が上がらない背景

   転職のエージェントサービス会社などが時々行っている調査によると、転職の動機にはたいてい「賃金アップ」や「年収向上」が上位にあげられている。その希望や期待は、どれほどかなえられるものなのだろうか。

   厚生労働省による雇用動向調査(平成30年=2018年)の中の「転職入職者の賃金変動状況」によると、およそ40%の人の年収が上がり、30%が変わらずで、残りの30%では減少となっている。つまり、転職者の60%が年収で現状維持か下がっていることになる。

   本書によれば、転職で年収が下がったと感じるのは認識不足によることが多い。転職先の会社では、前の会社の直前年収を基準としながら、同社での実績はまだ出ていないので、10%以内を範囲として低くなる。内定時に提示される「想定年収」では期待値が表されているので、会社の期待に応える実績があげられればアップすることが考えられる。

   「想定年収」は、賞与が確定した金額ではないために「想定」となっている。賞与は必ず支給しなければならないものではないこと、会社の業績や個人の業績により変動があることから確定していない金額であることを承知しておくべきだ。

   転職後の年収ダウンでほかに考えられることは、賞与支給のタイミングの問題。内定時に転職前の年収が約束されていたにもかかわらず、入社して最初に迎える賞与のタイミングによって満額支給されないことが多いため、年収としてみると減ってしまうケースがある。著者は、賞与が保証された採用の場合は初年度の支給について事前確認することを勧めている。

転職を目指す際の要確認事項

   転職を志す人たちが、すべて給与水準のアップを目指しているわけではもちろんない。望みと合致する転職ならば、収入面で多少の犠牲を払ってもという人もいよう。もっとも、本書によれば、望んだからといって年収が必ず上がるわけではなく、上がる理由があれば下がる理由もあり、それらは、転職者の市場価値と連動している。

   たとえば、同じ経験や技術を持った人がいない会社ならば、転職者は高く買ってもらえる。ただ、この「オンリーワン採用」では、転職者は、より高い給料をとりに行くという動機より、成果へのコミットこそが給与水準を上げていく最大のポイントであること忘れてはならないと、著者は注意を促している。

   ほかに、今の仕事内容にスキルを一つ掛け合わせて売り込むことも、年収アップを目指す転職では有効という。「営業+英語コミュニケーションスキル」や「ITエンジニア+スキル教育のエキスパート」などの組み合わせだ。前者では営業キャリアを歩み、そのなかで海外勤務の機会があり英語スキルが身に付いた人物が、後者では、部下の育成経験が豊富なエンジニアが想定される。研修講師として引っ張りだこになった例がある。

   「掛け合わせ」により、自身でも思ってもみなかったような市場価値を見出すことがあるという。「年収を上げる転職を目指す際に、是非確認したいところです」と著者。

「年収が上がる転職 下がる転職」(山田実希憲著) すばる舎

山田実希憲著
すばる舎
税別1500円

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