転職者の「6割」の給料が上がらない背景
転職のエージェントサービス会社などが時々行っている調査によると、転職の動機にはたいてい「賃金アップ」や「年収向上」が上位にあげられている。その希望や期待は、どれほどかなえられるものなのだろうか。
厚生労働省による雇用動向調査(平成30年=2018年)の中の「転職入職者の賃金変動状況」によると、およそ40%の人の年収が上がり、30%が変わらずで、残りの30%では減少となっている。つまり、転職者の60%が年収で現状維持か下がっていることになる。
本書によれば、転職で年収が下がったと感じるのは認識不足によることが多い。転職先の会社では、前の会社の直前年収を基準としながら、同社での実績はまだ出ていないので、10%以内を範囲として低くなる。内定時に提示される「想定年収」では期待値が表されているので、会社の期待に応える実績があげられればアップすることが考えられる。
「想定年収」は、賞与が確定した金額ではないために「想定」となっている。賞与は必ず支給しなければならないものではないこと、会社の業績や個人の業績により変動があることから確定していない金額であることを承知しておくべきだ。
転職後の年収ダウンでほかに考えられることは、賞与支給のタイミングの問題。内定時に転職前の年収が約束されていたにもかかわらず、入社して最初に迎える賞与のタイミングによって満額支給されないことが多いため、年収としてみると減ってしまうケースがある。著者は、賞与が保証された採用の場合は初年度の支給について事前確認することを勧めている。