風通し、若手の成長、社員の士気
平成30年間に時価総額を最も大きく伸ばした10社には、トヨタ自動車やホンダ、ソニー、任天堂などポジティブなイメージのある企業名が並ぶ。日本経済新聞(19年4月27日付)からの引用だ。記事は、時価総額を最も減らした企業が並記されたもので、本書ではこれらの企業について、オープンワークの職場環境データをあてはめて比較している。
「最も減らした企業」の一つには、ソニーのライバル企業とされるメーカーの名前があるが、オープンワークのデータでみると、ソニーと比べ、オープネスがもたらす「風通しの良さ」「20代の成長環境」「社員の士気」で差が出ているのがわかる。
「オープネス」を構成する3要素が高いということは、風通しが良く、若手の成長環境に優れ、そうしてことが相まって社員の士気が上がり、チームとしての会社が強化されるということだ。
同紙のデータ分析では平成元年時点で上場している企業だけを対象にしたもので、平成の間に時価総額を大きく伸ばしたにもかかわらず、リストに含まれていない企業もある。ユニクロのファーストリテイリング、ソフトバンクグループ、リクルートホールディングスなどだ。
これら3社の職場環境データをみると、共通して高い項目は、10社のときにみた「風通しの良さ」「20代の成長環境」「社員の士気」の3項目に加え「人事評価の適正感」がある。
本書では、事業の成功との相関関係などをみながら「組織戦略」の重要性を述べているが、本書のスタンスは決して事業に優先して組織戦略を練るよう促すものではないとしている。
「『社会的に意味のあるサービスや製品の存在』がないと、企業は成り立たない。ただ、それでも職場環境のデータが重要であると述べる理由は『相対的な重要性が代わってきたから』である」と著者。今後かならずやってくる生産年齢人口の減少時代。「組織戦略」の重要性はますます高まるという。
「OPENNESS 職場の『空気』が結果を決める」
北野唯我著
ダイヤモンド社
税別1500円