「キムタク」のシェフ姿、カッコよかったですね。
料理を題材にしたドラマは少なくありません。レストランには、接客担当のウエイターやウエイトレス、料理をつくる腕のいいシェフに、お店を愛してやまないオーナーの存在...... があります。さらにはそこにはライバル店の存在、お客様。サスペンスでなくとも、これだけでなにかが起こりそうです。
今回は、そんなレストランが舞台。TBS系の日曜劇場「グランメゾン★東京」より、お届けします。
超一流シェフが新メニューで火花
ドラマ「グランメゾン★東京」は、木村拓哉さんが演じるシェフの尾花夏樹が、慢心から店や仲間を失いますが、ミシュランの3つ星を目指す女性シェフ、早見倫子(鈴木京香さん)と出会い、もう一度夢に向かって挑戦する大人の「胸アツ」ストーリーです。
その最終回。ミシュランの審査が近づき、新メニューの開発が大詰め。そんななか、新しい魚料理を作るために、尾花はフレンチにとって禁断の食材であるマグロに挑戦し始めます。その様子に不安になった倫子は口を出し、別の魚料理を作り、美味しいほうをメニューに加えようと提案。そこから、二人それぞれの新メニューとの「格闘」が始まります。
尾花と倫子が新しい魚料理を生み出すために競い、倫子から「ハタのロティ」という新しく、素晴らしい魚料理が誕生します。しかし倫子がそこに至るまでには、尾花の働く姿勢があったからでした。
自分の腕と舌に絶大な自信を持っており、店と料理のためならどんな犠牲も厭わない。アイディアも出すし、行動も人並み以上。ランチ営業していない間にフードフェスに出店し新しいお客様を獲得するなど、周りが困惑するような行動にもでる。自分はもちろん、仲間にも厳しく、美味しい料理ができるまで挑戦をやめません。仲間の料理にも簡単にOKは出しません。
そんな尾花の背中を見てきた倫子は、必死で魚料理を生み出します。そして自分の料理と尾花の料理を比べ、迷いを抱えながらも美味しいと思った自分の料理を出すことを決断します。その決断ができたのは、尾花が倫子を思い、「3つ星」のプレッシャーに負けない自信を持たせるために立ち回っていたからでした。
「情熱をもって向き合う」キムタクがカッコいい
お客様の前で、「お客様目線」をもった振る舞いができる人は、少なくないでしょう。でも、社内の仲間や部下に、自分の機嫌を表に出してしまう人っていますよね。
社内の仲間にも、お客様と同じような心持ちで接することができる人は、周りの信頼が厚く、人が集まってくるものではないでしょうか。そういう人は上下に関係なく、周りへの気配りができ、目の前の仕事に真摯に向き合って働いているのだと思います。
このドラマは、人が人に与える影響で、仕事はできあがっていることを、教えてくれています。
その思いがこんな、カッコいいセリフにつながります。
「料理には人を動かす力がある。」
元気のなかったお客様が、料理を食べたら笑顔になる。ドラマの中だけでなく制作に関わるスタッフすべてが、「お客様の心を動かすこと」を考え働いていることが伝わってくるドラマでした。だからこそ、「グランメゾン★東京」は、働く人たちから多くの共感が集まったのではないでしょうか。
つまり働くとは・・・
働くとは、「人が動く」と書きます。自分が動くこともそうだし、誰かを動かすこともまた働くことです。この「動かす」相手はお客様に限りません。
仲間に良い影響を与えることも働くことの意味。自分の動きで、お客様も仲間も動かすことが、いい働き、感動を生む仕事につながります。
だからこそ、働く人たちから多くの共感が集まったのではないでしょうか。
「情熱をもって向き合うこと。最後まで逃げないこと。お客様を一番に考えること。自分を信じること」
倫子のスピーチを、胸に刻みたいと思います。(入澤あきこ)
◆ 日曜劇場「グランメゾン★東京」
TBS系。2019年10月20日から12月29日まで、毎週日曜の21時から21時54分に放映(全11話)。主演は、木村拓哉さん。最終回(2019年12月29日放送、30分拡大版)の平均視聴率が、この時間帯トップで番組最高となる16.4%を記録。初回の平均視聴率12.4%。回を追うごとに視聴率を伸ばし、最終回で有終の美を飾った(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。