中小事業者の8割が、東京オリンピック・パラリンピックに期待せず――。開催まであと約半年に迫るなか、景気上昇の起爆剤への期待も膨らむ一大イベントに、冷めた声が寄せられている。
口コミサイトなどのインターネット事業を手がけているデザインワン・ジャパンの中小事業者の調査・研究開部門「エキテン総研」が行った調査でわかった。店舗関係者のあいだでは、「渋滞や交通規制」「テレビ観戦の増加」で客足が遠のいたり、売り上げが減るのではないかといった懸念のほうが強いようだ。
じつはラグビーW杯のときも......
調査によると、今夏に開催されるあ東京五輪・パラリンピックについて、「売り上げ・客数増に期待しているか」を聞いたところ、会場がある都道府県にある店舗(786か店)の77%(607人)が「期待していない」と回答。「期待している」(23%、179人)を大きく上回った。また、開催会場がない都道府県にある店舗(1101人)では、その差はさらに大きく「期待していない」が85%(938人)なのに対して、「期待しているは」は15%(163人)だった。
東京五輪・パラリンピックの会場は、東京都のほか、関東では千葉、埼玉、神奈川、茨城の各県、東北地方では宮城、福島両県、さらに静岡県、北海道に設置される。
五輪開催による営業的な好影響を期待していないことについて、そのように答えた事業者の半数以上は、
「開催会場が近くにないから」
「観光客が利用する業態でないから」
を理由として回答。
開催会場のある都道府県に所在する事業者からは、
「テレビ観戦する人が増え、客数が減る」
「渋滞などのイレギュラーな現象で売り上げに響く」
など、むしろ売り上げや客数が減ることを懸念する声が聞かれた。
フリーコメントとして寄せられた懸念の中には、2019年のラグビーワールドカップのときの例をあげ、会場に出向くばかりで店は素通りだったことを指摘する千葉県の飲食店からのコメントや、オリンピック期間中はテレビの視聴で「来店客が減少した実績、データがある」と、具体的に説明するものも少なくなかった。
その一方で、
「体操したいという子どもたちが増える可能性がある」(大阪府、体操教室)
「旅行支度での購買が見込める」(広島県、衣料品店)
「スポーツ鍼灸が必ず取り上げられる」(山形県、鍼灸院)
「来日外国人に対してのコミュニケーションツールとして英会話教室へ通う方が増えた(日常会話中心のレッスン、道案内など)」(神奈川県、英会話教室)
など、業種によっては経済効果を期待している事業者が一定数いることもわかった。
なお、調査は全国の店舗経営者や集客販促担当者らを対象に実施。デザインワン・ジャパンが運営する口コミ・ランキングサイト「エキテン」掲載中の店舗や企業に向けて、2019年12月10日~15日に、インターネットで「東京オリンピック・パラリンピック開催にむけて準備していること」をテーマに聞いた。有効回答数は、1887人。