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テレビの100人アンケートは論外...

   内閣支持率は、新聞やテレビ、通信社が同時期に実施し、それらを見比べると、数パーセント程度の違いがある。だいたいどのメディアも、RDD(Random Digit Dialing=乱数番号法、無作為番号法)と呼ばれる電話番号による無作為抽出方法などで実施。メディアの論調が内閣支持率調査などの世論調査の結果に影響を与えているといわれることがあり、そう考えている人も少なくないようだが、無作為抽出方法による調査の性質から「基本的に論調が影響することはない」という。

   「時々誤差の範囲とは言いがたい開きになることもあるが、各新聞社のトーンの違いだけで説明することは難しい」と著者は加えて述べている。

   すべての調査が住民基本台帳や選挙人名簿を使った無作為抽出で実施できれば、それがベストといえるが、住民基本台帳の閲覧は公益性の高い調査以外では法律で禁じられている。プライバシー保護意識が高まったことや、閲覧が犯罪に使われた事件があったことなどから法改正された結果だ。そのため、民間の調査機関で実施されているアンケート調査の大部分は、無作為抽出にはなっておらず、この点について「留意する必要がある」と著者。データ・リテラシーを高めるうえで押さえておくべきポイントという。

   本書ではほかに、「話にならない『テレビの100人アンケート』」を批評、江戸時代にさかのぼり「ランキングが好きな日本人の国民性」の解明に挑戦したり、近年、新年度の入社シーズンに取りざたされることが多い「若者はなぜ3年で辞めるのか?」という話題について、統計情報からは、一面的な見方の可能性があることを指摘する。また「『伊勢崎市は4人に1人が外国人』という誤報の真相」に迫るパートなど多彩なテーマが盛り込まれている。

「データ・リテラシーの鍛え方」
田村秀著
イースト・プレス
税別860円

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