理想的なアンケートとは?
ネット時代を迎えてからはとくに、世間にはありとあらゆるタイプのアンケートの結果があふれている。データ・リテラシーを養うためには、理想的なアンケートとはどのようなものであるかということをしっかり理解することが基本という。同時に、実際にはさまざまな制約から必ずしも理想的なアンケートが実施されていない現実を認識することもまた基本の一つだ。
アンケートは本来、対象の人のすべて(母集団)をカバーしなければならないが、多くの場合は母集団の数が多くその実行は現実的ではない。全数調査が不可能な場合は、母集団から対象者を無作為抽出で選ぶサンプル調査を実施するのが理想的とされる。国の世論調査や自治体の住民アンケートでは、基本的に住民基本台帳や選挙人名簿を基に対象者を無作為抽出で選んでいる。無作為といっても「手当たり次第」ではなく「だれでも選ばれる確率が同一」になるようにしなければならない。
テレビ番組などで、街を行く100人きました―という類のアンケート結果が紹介されることがあるが、こちらは手当たり次第であって無作為抽出ではない。
無作為抽出で行われた調査では、サンプル数100で誤差±10%、400で±5%、2500±2、1万で±1%―ということになり、いずれも信頼水準は95%、つまり、95%の確率で誤差の範囲におさまるということ。無作為抽出による400のサンプルから得られた内閣支持率が50%だった場合、実際の国民全体の支持率は45~55%の間に収まる。そして、この範囲からはみ出す確率が5%あるということだ。