対応に難しさ...... 「同一労働同一賃金」で人件費アップ
さらに、働き方改革に前向きに取り組んでいる76.7%(「取り組んでいる」60.4%と、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」16.3%の合計)の企業に、取り組みの具体的な内容(複数回答)を聞いたところ、「休日取得の推進」が77.2%でトップ。次いで「長時間労働の是正」が71.0%と、この2項目が突出して高かった。
労務・人事面では、「人材育成」(49.6%)や「健康管理の充実」(45.9%)。また、業務改善(生産性向上)では、「業務の合理化や効率化のためのIT・機器・システムの導入」(43.6%)が、経営・事業面では「職場風土づくり・意識の改善、コミュニケーションの活性化」(44.7%)などが4割を超えた。
その一方で、今年4月から導入される「同一労働同一賃金」などの「非正規従業員の処遇改善」は22.9%、「副業の許可」は9.2%にとどまった=下図参照。
企業からは、
「法の主旨に基づき休暇を最大限に設け、労務時間の調査と適正な報酬、主体的な業務管理に向けて研修などを行っている」(土木建築サービス、奈良県)
「時間外労働、休日出勤などの勤務管理をペーパーレス化し、時間管理の徹底を周知している」(一般貨物自動車運送、山形県)
「社内業務のシステム化で、労働時間短縮を目指している」(ソフトウェア受託開発、東京都)
といった具体的な取り組み例が多く寄せられている。
半面、
「同一労働同一賃金で人件費は必ず上昇し、赤字になる可能性があるため、人員を削減するしかない」(金属製スプリング製造、神奈川県)
というような、対応に難しさを感じているとの意見も少なくない。
今後の取り組みでは、「サテライトオフィスやテレワークの導入」が23.6%と最も高く、「副業の許可」(22.5%)が続いた(複数回答)。いずれも現在の取り組みでは1割を下回っていたが、今後の導入を検討しているとみられる。
現在、働き方改革に「取り組んでいない」企業に、今後新たに取り組む具体的な内容を聞いたところ、
「フレックスタイム制などに加え、サテライトオフィスなどの新しい取り組みも検討課題に上がっている」(ソフトウェア受託開発、東京都)
「社員がより活躍できる環境を整えるために、副業の許可を進めたい」(医薬品製剤製造、大阪府)
との声があった。
なお調査は、全国2万3652社が対象。そのうちの1万292社(回答率43.5%)が回答した。