モリカケ問題で追及されるストレス解消を韓国ドラマに?
つまり、全斗煥元大統領の独裁的な権力掌握法と言論統制、政権批判勢力の弾圧方法が、安倍首相の政治手法に合っているから熱心に見ているのではないかというわけだ。それにしても、そもそも安倍首相が「第5共和国」の熱心なファンだという根拠はどこから来たのか。
中央日報の「元ネタ」と思われるのは、夕刊フジ・オンライン版(2017年8月1日付)に掲載された「永田町・霞が関インサイド:公邸泊まりが多い安倍首相、『首相動静』載らず密会にもってこい 『極秘会食』の後に韓国ドラマも見ていた」というタイトルの記事だ。筆者は『安倍政権365日の激闘』という著作もあるジャーナリストの歳川隆雄氏だ。
記事が書かれた2017年は、安倍首相は1月から7月まで、森友学園と加計学園の「モリカケ」問題で、野党とメディアから激しい追及を受け続けた時期だ。歳川隆雄氏は、この期間に安倍首相が私邸に帰らず、官邸にばかり泊まり込んでいることに注目した。 そして、こう書いている。
「安倍首相は知己に『なぜ、オレはこんな目に遭わなければならんのだ。十分に説明しているじゃないか』と加計問題で追及されたことに、いらだちを隠さなかった。筆者は安倍首相が久しく公邸に泊まるケースに注目してきた。新聞各紙の政治面に前日の『首相動静』が掲載される。だが、首相が公にしたくない人物との面会の場合、公邸でひそかに会えば、『首相動静』に載らない。公邸泊まりは密会にはもってこいだ」
「では、安倍首相は公邸で何をしているのか。日本料理店『なだ万』から仕出し弁当を取り寄せて『極秘会食』する。それでも9時半には終わる。その後はどう過ごしているのか。テレビドラマだ。加計問題の真っただ中の4月から6月にかけて見ていたのは、韓国MBC制作の『第5共和国』だ。全斗煥がクーデターで実権を握り、戒厳令下の光州事件を経て大統領に就任するまでの権力奪取を描いている。安倍首相は、このドラマから何を学んだのだろうか」
と、歳川隆雄氏は結んでいる。
たしかに連日、国会やメディアから激しく追及されていた安倍首相、深夜、官邸のベッド上で何を思いながら血なまぐさい韓国ドラマを見ていたのだろうか。
(福田和郎)