「ハイ・ロー」の違いを知る
文化的背景の差によるコミュニケーションのすれ違いでしばしば、「ハイコンテクスト文化」と「ローコンテクスト文化」が取りざたされる。米文化人類学者が唱えた識別法だ。
「ハイコンテクスト」は、さまざまなことについて共有性が高く言葉で発しなくてもお互いに察しあうことでなんとなく通じてしまう文化で、日本はこちらに属し、時間や経験の共有に基づいて話題が形成される傾向が強い。
これに対し「ローコンテクスト」は、その逆で、話題などを共有の文脈に依存するのではなく、言語を通じてコミュニケーションをする。欧米はローコンテクスト文化圏で、論理的思考力や表現力が重視される。
日本などアジアに多い「ハイコンテクスト」の国々の人たちは、いわゆる「場の空気を読む」ことができるが、「ローコンテクスト」の国の場合は、言葉でコミュニケーションをしようとするので、はっきりしていると感じることが多いのだ。この「ハイ・ロー」に対する無理解からの失敗も本書で紹介されている。
東京オリンピック・パラリンピックが開かれる20年は、東京ばかりではなく、全国各地のホストタウンでも、短期ではあるが、多くの外国人が暮らすようになりグローバル化の範囲は拡大する。本書のタイトルは「~外国人がやってきたら読む本」だが、やってくる前にもコミュケーションの予習に使える一冊。
「職場に外国人がやってきたら読む本 ~カルチュラル・インテリジェンスのすすめ」
涌井美知子著
近代セールス社
税別1500円