J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、自民党の二階俊博幹事長が悪化している日韓関係の改善のために、1000人規模の訪韓団を計画していることを2020年1月10日付「【日韓経済戦争】二階幹事長の発言『1000人連れて訪韓する』 日本はベタ記事、韓国は1面トップの大騒ぎ なぜ温度差が?」という記事で紹介した。
その後、二階幹事長の計画はもっとスケールが大きく、「1200人規模」であることがわかった。
ところが、この二階幹事長の「勇断」に、ネット上では「YOUは何しに韓国へ?」「安倍政権の方針に反する売国的行為だ」「韓国に来なくていい!」と日韓双方からの猛批判が相次いでいる。いったいどういうことか。韓国紙で読み解くと――。
東京五輪前に観光・スポーツ界代表も引き連れて......
二階俊博幹事長がぶちあげた「1000人訪韓計画」については、その後、やや詳細な内容が入ってきた。なんと1000人ではなく1200人規模に膨れ上がりそうだというのだ。
聯合ニュース(2020年1月10日付)「二階氏訪韓は最大1200人規模 民団新年会で報告=韓日議連会長」がこう伝える。
「超党派でつくる韓日議員連盟の姜昌一(カン・チャンイル)会長は1月10日、東京都内で行われた在日本大韓民国民団(民団)の新年会で、二階俊博幹事長が1000人規模の代表団を率いて韓国を訪問すると紹介した上で、『二階幹事長が韓国を訪問するのは意味がある』と強調した」
カン会長によると、二階氏は1月9日に行われたカン会長らとの面会で、「今の世代が日韓関係の良い状況を作り、次世代に暗い影を残してはならない」と語り、1000人から1200人の規模で韓国を訪問する計画だと伝えたという。1月11日からのベトナム訪問では1000人を率いて行くため、もっと重要な国である韓国訪問ではさらに大規模で行うとも語り、カン会長らを喜ばせたのだった。
時期についても「今年8月中旬のお盆より前」と具体的に話した。日本の通常国会は1月20日に招集され、会期末は6月17日の予定だ。また、7月24日から東京五輪が始まる。五輪中の訪韓は考えられないため6月下旬から7月になる。また、二階氏は東京五輪前の解散については、日本のメディアに「あり得ない」と語っており、この大規模訪韓は総選挙の前ということになる。
聯合ニュースが続ける。
「この日の民団の新年会には日本の与野党国会議員約30人が出席した。日韓議連の河村建夫幹事長(自民党)はあいさつで、二階氏の訪韓計画を伝えるとともに、韓日間の観光およびスポーツ交流の重要性を強調した。南官杓(ナム・グァンピョ)駐日大使も『昨年の韓日関係はこれまでになく難しかったが、幸い韓日首脳会談の開催を機に希望の扉が開いた。(二階幹事長の訪韓団などにより)両国の国民と企業が置かれている厳しい立場が早急に改善されるように最善を尽くす』と述べた」
どうやら二階幹事長は、東京五輪前の訪韓とあって、政財界だけでなく観光業界やスポーツ界からも大挙して引き連れていく計画のようだ。
自民党支持者から「総理は幹事長を辞めさせろ!」
ところが、こうした二階氏の訪韓計画について、日本のネット上では「#二階幹事長 訪韓」のスレッドが立ち、激しい批判が投稿されている。従来の自民党支持者からの反発が多いのが特徴だ。
「韓国へ1000人引き連れて行くって本当ですか? 今、何をしに、何を話しに? 国民は注目していますよ。日本の国益になる言動をされるかどうかを。期待を裏切らないようにお願いします!」
「大問題だ!売国的行為ではないか。安倍政権の方針は『徴用工問題などは1965年日韓協定で解決済み。韓国内で処置せよ』だ。ボールは向うにある。なぜ我が国のほうから韓国にすり寄るのか。こういう姿勢が韓国をつけ上がらせてきた。安倍総理は承知しているのか。独断なら幹事長を辞めさせるべきだ!」
「自民党はこの人を徹底冷遇しないと、東京五輪後の総選挙の得票が減りますよ。危機意識を持って下さいよ」
「どうしても行くなら私費で行ってほしいです。メンバーも全員しかり。公費を使って行くのであれば、今後自民党には投票しません。自民党はパブリックコメント(意見公募)してはいかが。中止することを望みます」
「何が何でも行くなら片道切符でよろしく。あちらで議員になられてください」
「自民党議員は二階幹事長を国会に参考人として呼び、追及すべきだ。論理的な応答ができない男と国民に知らしめて恥をかかせればよい。こんな人物が自分の党の幹事長をしている事を猛省し、即更迭すべきである!」
「親韓問題のほか、IR問題(秋元司議員等4人組)、菅原一秀前経産相、河井克行前法相・案里参院議員夫妻らの相次ぐ不祥事は、二階幹事長の自民党員の掌握・管理の職責怠慢、能力欠如に起因する。民間であれば責任を取り、即クビだ。安倍総理とよく相談して潔く辞職しなさい」
韓国民「二階が来たってもう遅い。不買運動を盛り上げよう!」
一方、韓国側も二階氏の訪韓計画を好意的に受けとめているのはメディアだけで、一般ユーザーからは厳しい批判の投稿が相次いでいる。これは同じころ、強制徴用工問題解決のために日韓の弁護団が日韓合同の協議体創設を提案したところ、菅義偉官房長官が「全く興味はない」と突き放したことが韓国内で大々的に報じられためだ。菅官房長官のにべもない口調が韓国民の怒りを買い、そのトバッチリが二階幹事長に向けられた形だ。
こんな投稿が相次いでいる。
「カン議員はよけいなことをするな」
「二階が来たってもう遅いよ。韓国は、かつてはたいしたことのない国だったが、今は世界の進む道を開拓し、未来の技術を創造する国になった」
「かつては日本が必要だという売国奴たちがいたが、われわれは日本から独立した。国民の底力を誇らしく思う」
そして、さらなる「不買運動を!」と呼びかける。
「不買運動をもっと続けよう。日本がなくても自立できるよう、輸入多角化も進めよう」
「この機会に完全なる脱日本を遂げるべきだ」
二階幹事長の訪韓が、火に油を注ぐことにならなければよいが......。
(福田和郎)