イメージアップは大成功!? 「進次郎大臣の育休」に海外メディアが好感のワケ(井津川倫子)

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なんと! 日本は男性育休の先進国だった

   今回のニュースに海外の人々が驚いているのは、「日本では、現職大臣が育休を取得したことがない」という事実です。海外では現職の大臣はもちろん、首相が育休を取得したケースもありますから、日本の「異常さ」が際立って見えるのでしょう。

   実際、米ニューヨークタイムズ紙は、わざわざ見出しで「これは大変なことだ」と説明しているほどです。

A Japanese politician is taking paternity leave. It's a big deal
(日本の大臣が育休を取る。これは大事件だ!)
big deal:大変なこと、大事、重大なこと

   じつは、海外メディアが同時に報じているのは、日本の育休制度と現実とのギャップです。私も今回の報道で初めて知ったのですが、「制度上」は、日本の育休制度、特に父親の育休制度は世界でも恵まれていて、日本は「父親の育休先進国」なのだそうです。

   日本では、母親と同様に父親にも産後1年間の育休が認められています。この、父親にも同等の権利が認められている国は少ないそうで、父親の育休期間を比較したOECD(経済協力開発機構)のランキングによると、日本は他の先進国を差し置いて上位に位置しています。NYタイムズ紙が「極めて恵まれている」と評しているほどです。

On paper, Japan has exceptionally generous paternity leave laws
(書類上は、日本の父親の育休制度は例外的に恵まれている)
on paper:書面では、書類上は、理論上は
exceptionally generous:極めて寛大、極めて恵まれている

   手厚い社会保障で知られる北欧諸国よりも「寛大な制度」というのは驚きですが、この「on paper」(書類上は)がポイント!つまり、日本は制度上、世界トップクラスの父親育休制度を誇るものの、実際に取得している男性はごくわずかにすぎない。しかも、育休を取った男性が職場で嫌がらせをされるケースもある。そもそも、ワーカホリックな職場環境では男性に限らず女性も育休を取りづらい......。

   海外メディアはこういった負の側面も細かく報道していて、表面上は「男女平等」や「子育て支援」をうたっているものの、実態はまったくかけ離れているといった日本社会の二面性を強調しています。そんななか、新進気鋭の大臣・進次郎氏の育休取得が風穴を開けるのではないか、と期待を集めているのでしょう。

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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