コンパニオン「私たちはお飾りでも会場の華でもない」
一方、記事の筆者の「コンパニオン観」には、当のコンパニオン経験者から「誤解がある」という意見も寄せられた。単なる「お飾り」「会場の華」ではなく、もっと知的で苦労の多い仕事だというのだ。
「コンパニオンの仕事はただ立っているだけではなく、展示車のドア開閉の注意や展示車についての質問に答えるなど多岐にわたります。大抵のメーカーは事前に勉強会を実施しています。いろいろある展示会の中でも、東京モーターショーはその頂点であり、コンパニオンの方々も真剣です。女性が適している理由は、男性来場者が多いからという理由は否定しませんが、他にも、女性であれば男女関係なく、展示車に乗り込むときにエスコートしやすい、子供が怖がらないといった理由もあります。ショーも後半になるとみんな疲労困憊で、足に絆創膏を張りながら頑張っています。どんなにつらくともプロとして、笑顔で接する彼女たちに頭が下がります」
「学生時代にモーターショーでお車の横に立つアルバイトをしました。大変に厳しいオーディションを通らなければならず、顔立ちや体型などの見た目の『華』だけではなく、コミュニケーション能力、上品な立ち居振る舞い、お行儀の良さ、人当たりの良さなど、ありとあらゆる面を評価された人しかできません。普通のコには無理です。なぜなら、企業イメージと商品イメージをまとめて背中に背負うのですから。
おまけに、自分が担当する商品の特性やアピールポイントなどが綴られた資料を、当日までに必死で覚えなくてはなりません。何か聞かれた際に答えられなかったら、恥をかくのは自分ですし、企業だからです。そんな苦労を乗り越えて、車の脇に立つ彼女たちを排除しようとするのは大人気ないと思います」
これとは別に、モーターショーというイベントにはコンパニオンは絶対に必要だという意見も多かった。コンパニオンがいなければ、会場は無味乾燥の単なる広大な自動車置き場になってしまうというわけだ。
「コンパニオンを邪魔だと書いているが、大量の車がただ並んでいる状況では視線の行き場がさ迷ってしまう。そんな時、遠目から眺めても思わず目が行くのはキレイな人が横に立っている車だろう。モーターショーという多数の企業が出展するイベント空間において、彼女たちは自社の車を目立たせる役目があるからそこにいる」
「各ブースの現場では多くのコンパニオンが働いています。展示車両の技術的、販売戦略的な説明や質疑応答のほか、大勢の観客の誘導、プレゼンタイムの呼び込み、ゲームに参加する子供たちの誘導と進行、インスタ撮影した観客への景品渡し、海外代理店や報道、来賓への応対、パンフ配布(これが一番重要!)......。子供の『トイレどこ?』への対応など、女性ならではのきめ細やかさで多種多様な事を行わなければなりません。この記事は『車両だけポツンと置けばいいんだ』と言わんばかりに、モーターショーというお祭りで活躍する彼女たちの仕事内容と気持ちを全く理解しないで書いています」