「二階氏と面会できたこと自体が雰囲気が良くなった証し」
それだけに訪日韓国議員団の二階俊博幹事長に対する期待は大きかった。今回日本を訪れたのは超党派でつくる韓日議員連盟の姜昌一(カン・チャンイル)会長ら5人の国会議員。1月10日行われる在日本大韓民国民団(民団)の新年会に出席するために来日したのだだが、何よりの目的は安倍政権のナンバーツー、二階幹事長に会うことだった。
その会談の模様を聯合ニュース(1月9日付)「二階氏が1000人規模の訪韓計画 韓日議連会長に明かす」がこう伝える。
「韓日議員連盟のカン・チャンイル会長は9日、東京都内で二階幹事長と面会し、韓日関係の改善策について意見交換した。日韓議員連盟の河村建夫幹事長(自民党)も同席した。カン氏は二階氏らとの面会後、聯合ニュースの取材に対し『二階幹事長は、未来の世代のためにも韓日関係をうまく解決していこうと話し、私も共にうまくやっていこうと応じた』と伝えた。二階氏は近く1000人規模で韓国を訪問すると話したという」
二階氏は2015年、韓日国交正常化50年を記念し、日本の観光業界関係者ら約1400人を率いて韓国を訪れるなど、両国の友好に尽力してきた。ところが、昨年(2019年)7月末、韓国国会代表団10人が訪日した際は、二階氏は2回も面談をドタキャンしたあげく、結局中止になった経緯がある。当時は日本の対韓輸出規制強化が始まり、日韓関係が最悪だったのだ。
今回、聯合ニュースの取材に対し、カン氏はこう評価している。
「二階幹事長との面会が実現したこと自体が(両国間の)雰囲気が良くなった証しだ」
このニュースは、韓国では多くの新聞が1面、もしくは政治面で大きく扱った。ところが日本の主要紙(1月10日付朝刊)で取り上げたのは朝日新聞、読売新聞、産経新聞だけ。いずれもベタ記事だった。毎日新聞と日本経済新聞には見当たらなかった。
ところで、二階氏は昨年9月27日、BSテレ東の番組収録で日韓関係について、「我々はもっと大人になって、韓国に譲れるところは譲ろう」と語ったことがある。この発言に韓国メディアは躍り上がって各紙1面で大々的に報じた。ところが、日本の新聞で報道したのは読売新聞だけ、それもわずか16行のベタ記事だった。
その経緯は2019年10月1日付の会社ウォッチ「【日韓経済戦争】二階幹事長の発言『韓国に譲ろう』日本ではベタ記事、韓国紙は1面トップの大騒ぎ」で、紹介した。
二階俊博自民党幹事長ほど、日韓双方のメディアで報道の温度差が激しい政治家は稀なのではないか。
(福田和郎)