バカにできない飲食チェーンの「こだわり」 そのすごさはコンテンツの宝庫!

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   飲食系のチェーン店は「質より量」的なイメージが強く、消費者は「安くて便利でどこにでもあるから仕方なく使うだけ」という態度になりがちだ。しかし、飲食店情報サイトで高評価を得る数々の店を手がけたプロは、チェーンを侮るな! じつは「宝の山」なのだから―― と指摘する。

   それが、本書「人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本」。ビジネスパーソンのランチ、飲み会の店選びを劇的に変えるかもしれない一冊。

「人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本」(稲田俊輔著)扶桑社
  • 人気飲食チェーンには秘められた「スゴさ」がある
    人気飲食チェーンには秘められた「スゴさ」がある
  • 人気飲食チェーンには秘められた「スゴさ」がある

見下していたチェーン店だったが

   イタリアン「サイゼリヤ」のオリーブオイルと粉チーズの「素晴らしさ」、ファミリーレストラン「デニーズ」の本格派カレー、中華「バーミヤン」のラーメンのダシのこだわり、ハンバーガー「マクドナルド」で味わえる肉の旨さ――。本書のなかで著者が推す、飲食チェーンの知られざる「スゴさ」の一部だ。「チェーン店などほとんど利用しない」ことで「勝ち組」を気取っている人には絶対に分からない。「私に言わせればこんなもったいないことはない」と著者はいう。

   本書の著者稲田俊輔さんは、関東・東海圏を中心に和食店、ビストロ、インド料理など幅広いジャンルの飲食店25店舗を経営する円相フードサービス・専務取締役。同社の全店のメニュー監修やレシピ開発を中心に業態開発や店舗プロデュースを手掛ける飲食店経営のプロだが、ジャンルを問わず何にでも食いつく「変態料理人」または「ナチュラルボーン食いしん坊」の「イナダシュンスケ」として知られ、SNSで情報発信したり、グルメ記事をさまざまな媒体に寄稿したりしている。

   著者の飲食業歴は「かれこれ20年以上」。独立して小さな店を始めた友人の手伝いから携わるようになり、その店が人気となり支店を出し、成長が続き会社となって現在の肩書が付いた。著者の会社が展開する飲食店は一店舗ずつ業態が異なり「チェーン店というわけではない」という。むしろ「チェーン店は常に一番身近なライバル」であり、広告・宣伝などを含めて物量で圧倒され自ら立ち上げた店がうまくいかず悔しい思いをしたこともあった。「チェーン店なんておいしくない。有名だからお客さんが入るだけのこと。世間の目は節穴」。こんな風に考えて悔しさを紛らせていたが、飲食店プロデュースを長く続ける間に、チェーン店が「素晴らしいコンテンツの宝庫」であることがわかり、それをまとめたものが本書だ。

サイゼリヤのすばらしさはこれ

   「宝の山」の筆頭格に据えられているのが「サイゼリヤ」だ。「イタリアンワイン&カフェレストラン」を標榜し、全国で1000店舗以上を展開する。著者の「サイゼリヤ愛」は半端なものではないらしく、本書のほぼ3分の1が同チェーンについて割かれている。「平均客単価730円程度」の低価格と対照的な素材へのこだわりや、個人経営のイタリア料理店に勝るとも劣らない本格志向がそうさせるらしい。

   サイゼリヤのメニューの充実ぶりと、それらを低価格で提供できる仕組みを推測して解説。メニュー以外で著者が絶賛するのが、客が自由に使える卓上調味料のオリーブオイルと粉チーズだ。オリーブオイルは「ナポリの老舗メーカーと提携して徹底した品質管理の下に直輸入」されるもので「香りの豊かさ、スパイシーさを感じるその風味、さらりとした口当たり、『こんないいオリーブオイルを自由に使っていいなんて!』と歓喜せずにはいられない素晴らしいおいしさ」という。

   粉チーズは「最近置かれるようになった」もので「熟成感ある硬質チーズならではの深いうまみとフレッシュな風味、塩味も丸く素材の相性を選ばないクセのなさ、よくある工業生産的なものとはまったく別物」のグランモラビアという。

   本書について著者は、チェーン店の常連客の人より、チェーン店に関しては必ずいるという「行かず嫌い」「食わず嫌い」の人にまず読んでもらいたいという。本書を読んでから、サイゼリヤに行けば、リピーターでも初めての人でもトクした気分になることは間違いなさそう。

   サイゼリヤのほか本書では、デニーズをはじめとするファミレスチェーン、マクドナルドなどのファストフードチェーンや吉野家や松屋の牛丼チェーンなどの「スゴさ」を発掘紹介。マクドナルドのハンバーガーのパティには「本物志向」の肉の旨さが閉じ込められていることなどを解説してみせる。

「人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本」
稲田俊輔著
扶桑社
税別880円

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