厚労省(20180年版 自殺対策白書)によれば、2017年の自殺者数は2万1321人となり、対前年比576人(約2.6%)の減少であることが明らかになりました。
とはいえ、お正月明けは1年のなかで3番目に自殺者が多いことが明らかになっています。さらに、何の前触れもなく原因が特定されない場合が少なくありません。
年代別では15~39歳の死因第1位は「自殺」である(40歳以上、死因1位は悪性新生物)。15~39歳の死因第1位「自殺」は、先進国では日本のみで見られる現象であることから対策が急がれています。調査結果からは、若者の自殺以外に、中高年(50代)の自殺も顕著であることがわかりました。このような世相も相まって、本書は大きな話題を呼びます。
「『死ぬくらいなら会社辞めれば』ができない理由(わけ)」(汐街コナ著、ゆうきゆう監修)あさ出版
会社を辞められないワケ
「死ぬくらいなら辞めればができないのは、判断力が奪われてしまうからです。自分のことを思い返すといろいろ理由はありますが、他人を中心に考えてしまうことがありました。『会社や顧客に迷惑がかけられない』『親に心配はかけられない』『デキないヤツに思われたくない』『世間体が......』などがあげられます」
と、著者の汐街コナさんは言います。
「人を優先して自分を後回しにしているうちに、手遅れになってしまう危険性があるように思います。まずは、自分の命と人生を最優先に考えることが必要です」
とも。
汐街さんの母親は、ハローワークで働いていた経験がありました。そして、次のような話をします。
「きょう来た人、会社の指示どおりに仕事をした結果、身体が不自由になってしまった。会社は責任もとらずクビにした。会社はいざという時、なにもしてくれないから、自分で守らなくてはいけない」
そのようなことを、話したそうです。
「昔のことですが『自分の身体がおかしくなっても我慢してはいけない。会社はいちいち大丈夫かなんて考えてくれない。それでおかしくなっても自分で気をつけなかったのが悪いって言われて終わってしまう。誰も責任をとらない』。このようなことを言われたように記憶しています。若干、少し言葉じりなど違うかもしれませんが」(汐街さん)