韓国のNHKに登場した女性キャスターの衝撃
スポーツソウル(2019年12月8日付)がこう続ける。
「(2019年11月20日)日本のNHKにあたる公共テレビ局KBS(韓国放送公社)が、看板ニュース番組『KBSニュース9』の新しいメインキャスターとして同局の女性記者イ・ソジョンを就任させた。韓国の地上波テレビ局4社(KBS、MBC、SBS、EBS)が放映する看板ニュース番組で、女性がメインキャスターになるのは初めてだ。それも、最も堅苦しいとされるKBSが自らそのイメージを覆したことに、韓国のテレビ業界は驚きを隠さない」
イ・ソジョン記者は、2003年にKBSに入社して社会部や経済部、探査制作部などで記者として活動。メキシコ反乱軍「サパティスタ」を世界のマスコミで初めて単独取材し、2006年の「今年の女性記者賞」を受賞した。
日本統治下の朝鮮独立「三・一運動」100周年特集で、2019年の「韓国放送大賞」を受賞するなど、取材力と放送制作能力にあふれた実力派なのだ。
イ・ソジョン記者は記者会見でこう語った。
「私自身もKBSの果敢な選択に驚いた。これは果たして正しいのかとも悩んだが、われわれKBSはいま切実な問題を抱えており、これが視聴者に寄り添うための努力なのだと思う。キャスターが交代したからといってニュースが変わるとは思わないが、果敢な変化を選んだ事実そのものが与えるメッセージに注目してほしい」
そして、スポーツソウルはこう結んでいる。
「韓国ではいま、ネットで拾ったフェイクニュースや画像の無断使用、局内での男女平等問題、さらには若者のテレビ離れなど、テレビ業界がさまざまな問題に直面している。特にKBSの報道は信頼度低下が叫ばれて久しい。そうした雰囲気を一新することはもちろん、新しいジャーナリズム体制を構築するために女性のメインキャスターが起用されたといえるだろう」
(福田和郎)