独メルケル首相の退任に注意
トランプ米大統領が大統領選を控えているため、慎重な行動を行う可能性が高い中で、英国のEU(欧州連合)離脱問題(ブレクジット)は引き続き経済の波乱要因になる可能性がありそうだ。
2019年12月の英国総選挙で与党保守党が勝利を収めたことで、2020年1月末に英国がEUを離脱し、移行期間に入ることになった。ただし、これまでのブレクジットの経緯を鑑みれば、今後この問題が順調に進展すると安心することはできない。
英国とEUの関係は新たな通商関係の構築のため、FTA(自由貿易協定)交渉に入り合意を目指すことになる。合意までの期間が移行期間となるわけだが、2020年末が交渉期間となっている。ただし、交渉が順調に進むか否かは不透明で、移行期間の延長が視野に入っている。
また、EUではドイツのメルケル首相が2021年の任期満了で退任する意向を表明しており、メルケル体制がレームダック状態に入ることや次期首相選びが本格化することにも注意を払っておきたい。
アジアでは、香港の民主化問題も気になるところだが、中国では2020年秋の党中央委員会全体会議(五中全会)で次期5か年計画(2021~25年)の草案が討議される予定で、これからの中国の国家運営方針を示す重要な会議となる。