【小田切尚登が読む2020年】「最高の10年」のあとはもっと最高! 変えることのできない運命を楽しもう

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人々は人が不幸になる話が好き

   このように、我々は素晴らしい時代を生きてきたはずだが、我々がふだん耳にするニュースの大半はネガティブな内容である。

   なぜであろうか――。一つには現代社会では大過なく人生が過ぎていくというのが前提になっていること。そのため、以前は大目に見られていた問題が現代だと厳しく糾弾されることになる。「ハードルがあがった」ということだ。

   それに「よいこと」は当たり前なのでニュースになりにくい、ということもある。健康より病気が話題にのぼりやすい、というようなことだ。

   そして、人々は人が不幸になる話が好きであるということもある。加えて、たとえば天災のように、悪いことは往々にして急激に悪くなっていくので目立つが、よいことはゆっくり、じわじわよくなることが多いので、見過ごしやすいからではないか、と科学ジャーナリストのマット・リドレーは主張している。

   もちろん、問題は少なくない。何だかんだ言っても地震や台風、豪雨などの大自然の脅威に対して、我々はまだまだ非力である。戦争は減ってきたとはいえ、ゼロになることはない。特に核兵器のように、科学技術の発達のおかげで今まで以上に大きなリスクが発生してしまったことは重要である。

   東京は地震や核爆弾によって一瞬にして廃墟になってしまう可能性を抱えているということは常に念頭に置いておかねばならない。しかし、それらを考慮に入れたとしてもなお、現時点までの10年間は、人類の英知が勝利を重ねてきた時代であった、と言ってよいのではないか。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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