人類の平均寿命、1900年は32.0歳だった
飢餓は1960年代まで大きな問題だったが、その後着実に減少して世界中でほぼ消滅しつつある。現代は人口が増え続ける一方で、食糧事情がよくなっている。これは農業の生産性が改善しているためで、森林の伐採や焼き畑農業などが減少している。米NASAによると、地球上の緑地面積は2000年代初頭に比べて200万平方マイルも増えているという。
さまざまな病気や事故が減っているのも、うれしいことだ。特筆すべきは感染症が急激に減少していること。2000年以降、はしか、結核、エイズ、マラリア...... などの伝染病による死者が大きく減少してきている。医学の発達は、累計で数十億人の命を救ってきた。
一方で、交通事故が減ってきている。世界中で自動車や航空機の利用はどんどん増えてきているが、自動車事故も航空機事故もどちらも着実に減少している。結果として、人間の寿命は着実に伸びている。人類の平均寿命は1900年には32.0歳であったが、2010年には69.9歳に、そして2019年は72.6歳にまで伸びた。
戦争は着実に減ってきている。20世紀は二つの世界大戦があったり、スターリンと毛沢東がそれぞれ数千万人の命を奪ったりするなど、恐ろしい時代であっが、21世紀に入り、大規模な殺戮は大きく減少している。
21世紀の最初の10年間の最悪の事態はダルフール紛争(スーダン)であった。40万人の命が失われたと言われる。2010年以降も多くの争いが起きていて、シリアなど悲惨な状況にある。しかし、20世紀に比べれば、犠牲者の数はケタ違いに少なくなっている。
ちなみに、テロも人類の脅威の一つではあるが、テロによる犠牲者は戦争や殺人あるいは事故による死者の何百分の一あるいは何千分の一に過ぎない。