令和元年(2019年)の東京株式市場の日経平均株価は、2万3656円62銭で取引を終えた。
12月30日、日本取引所グループ(JPX)の東京証券取引所は大納会(年内最後の取引)を迎えた。セレモニーではゲストの狂言師、野村萬斎さんが令和元年の取引を終える鐘を鳴らした。
令和元年の株式市場は、トランプ米大統領の発言に右往左往する「トランプ相場」が続いた。とくに米国と中国、米国と欧州連合(EU)との貿易摩擦が、株価を乱高下させた。
年初から4000円超の上昇
株価には、一般的に大納会は「株価が上がりやすい」とされるアノマリー(合理的に説明できない現象)がある。お正月休みを控えてポジションを落とす動きや、年末の税金対策による損失確定を終えて、売り圧力がひと段落するため、上昇しやすくなっていると考えられている。
2017年をみると、大納会(12月29日)の株価は2万2764円94銭。大発会(1月4日)のそれは1万9594円16銭。1年を通じて3170円78銭も上昇。一方、18年は、大納会(12月28日)の株価は2万14円77銭。大発会は2万3506円33銭で、1年間で3491円56銭も下落した。
2019年の株式相場を振り返ると、日経平均株価は大発会から、米アップルショックの影響による大幅な下落(18年の大納会から452円安)でスタート。1万9561円96銭と年初来安値を記録したことで、下落傾向が続くとの懸念が広がったものの、1年経ってみれば12月30日の大引けは2万3656円62銭。その差は、4094円66銭も上昇した。
ただ、前日(27日)比では181円10銭安となり、2日続落。アノマリーのようにはいかなかった。
ちなみに、一般的には大発会の株価も比較的上がりやすいとされている。年末の手じまいが買い戻されることで上昇すると考えられているが、新年のご祝儀もある。2019年は大幅に値下がりしたが、2020年の株価はどうなるのだろうか――。
2020年の株価は2万7000円超の予測も
マネックス証券のチーフ・ストラテジスト、広木隆氏は2020年の日本株の見通しを、
「2万7000円を超えて上がります」
と、予測する。
米中貿易摩擦や英国のEU離脱、香港デモ、貧富の格差拡大などのフラストレーションの蓄積といった世界的な情勢は予断を許さず、引き続き、こうした外的要因には注意が必要とクギを刺したうえで、
「2万7000円というと驚かれるかもしれませんが、2019年も2割ほど(4000円超)上昇しています。2020年はオリンピックがやってくる、企業業績も回復することを考えれば、15%程度の上昇、つまり今年と同じくらい上昇で到達する水準です」
と説明する。
一方、令和元年に新規に株式を公開(IPO)した企業は86件で、前年から4件減った。12月17日に東証マザーズに上場したクラウド会計のfreee(フリー)や、6月のクラウド名刺管理のSansan(サンサン、東証マザーズ)などのITベンチャーが増えた半面、前年のソフトバンクやメルカリのような大型案件はなかった。
上場直前の決算期で経常損益や最終損益が赤字だった企業は前年の12件を大きく上回る22件で、記録のある2009年以降では過去最高を更新した。FreeeやSansanもこれに含まれるなど、ITベンチャーによる先行投資がかさんだとされる。