ランチェスター戦略を地で行った復活劇
「そして世界一のクルマを作るために社員が皆、『インコース高めのストライク』を意識しながら汗をかく。結果として、たとえば理想の運転姿勢を考え、ハンドルの中心線とドライバーの中心がピタリと合って左右均等に足を開くと自然とペダルに足が乗る。そうなると、タイヤを前に出さないと右足が置けないから、プロットフォームから見直すことになる、みたいな議論と試行錯誤があって、ドライバーの快適さを優先して作られた第6世代の車種が生まれ、以降の飛躍的な売り上げ増加につながっているのです」
規模、資金力で劣る企業が最大手をマネしても負けは見えている、というランチェスター戦略を地で行ったような復活劇です。中小企業にも大いに参考になるでしょう。
個人的には本件でもう一つ、先入観というものの怖さを改めて思い知らされました。クルマの運転はおもしろくないもの、つまらないものという思い込みが長年私に誤った認識を植え付けていたということ。何事も先入観を持たずに、常にゼロベースで考え、立ち向かうことの大切さを、還暦という人生の暦がゼロに戻るその年に教えられた気分です。
ちなみに、クルマの買い替えですが、クルマ選びの基準は燃費優先ではなくドライバーズ感覚優先だとの新たな基準で、マツダのガソリン車に決めました。(大関暁夫)