先入観を捨てた 「MAZDA2」を買った マツダを貫くクルマへの「思想」にやられた!(大関暁夫)

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「インコース高めのストライク」なクルマづくり

   マツダはフォードの傘下にあった時代も、クルマづくりでは自社の思想を曲げない、「最高で超一流、最低でも一流」を合言葉に、「一括企画」や「全車種技術統一」などでコスト削減を図りながらも、高い性能と品質にこだわり乗り手本位のクルマづくりは絶対に譲らない、そんな精神で突き進んできたと知りました。

   その結果として見事な復活を遂げたマツダの現在のコンセプトが、「Be A Driver」。要するに「真のドライバーになれ!」ということであり、燃費にばかり気を取られ、クルマの運転はつまらないもの、単なる移動手段に過ぎないと思い続けていた私は、見事にこのコンセプトに仕留められてしまったということなのです。

   それにしても、長年クルマ嫌いを貫いてきた私がハマってしまうクルマづくりというものは、いったい何であったのか――。

「マツダ ~心を燃やす逆転の経営 / 山中浩之著 日経BP社」の中で、金井誠太マツダ前会長がマツダのクルマづくり戦略について、非常にわかりやすく話しています。
「まだ業績回復途上にあった2005年に、マツダの目指すクルマづくりをプロ野球広島カープのオーナー企業でもあったことから野球にたとえて『インコース高めのストライク』と表現し、社内に徹底しました。それが今に至るマツダのクルマづくりの基本です」

   では、「インコース高めのストライク」とは、どういうことか――。

「トヨタはど真ん中のストライクで勝負をする企業であり、ライバル日産も同じ球種で真っ向勝負を挑むライバルです。ところが1980年代のバブルに浮かれたマツダも、トヨタ、日産と同じ『ど真ん中ストライク』で勝負しようとして、大失敗するわけです。戦略が身の丈に合っていなかった。その反省に立って、マツダはど真ん中から距離を取ることで、真っ向勝負は避ける。すなわち同じストライクでも個性ある球で勝負をするわけです。かつ、その個性が車種ごとにバラバラにならないよう、バッターの胸元をえぐるようなインパクトのあるクルマづくりという意味で『インコース高めのストライク』と表現したのです」
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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