個人的な話で恐縮ですが、2019年は還暦を迎えた年でした。暦が一巡してゼロに戻るということから還暦と呼ぶわけですが、再出発、ゼロスタート...... など。これを期にいろいろ新たな気持ちで取り組んでみようかと思ったりするものであります。
そこで還暦を前にした今秋、クルマの運転はあと10年という前提で、「最後の」新車への買い替えを決断しました。
「オッ、これはなんだ!」という衝撃
じつは私、大昔から自他ともに認める大のクルマ嫌いでして、とにかくクルマは走ればいい、燃費が良ければなお良し、というのがこれまでの私のクルマ選びの基準でした。
10年前にフツーのガソリン車からハイブリッド車に乗り換えたのも、そんな理由からです。今回も、当初は燃費が良く走ればいいを基準として新車選びを始め、ネットで下調べして絞りこんだカーディーラー3社を回り試乗しました。
選んだのは、現在乗っているクルマの延長でハイブリッドの先駆者であるトヨタ、EV時代をにらんで電気とガソリンのミックスが売りの日産、クリーンディーゼルでエコカーに一石を投じているマツダの3社。どれもエコ、高燃費です。
乗ってみると、トヨタは馴染みある想定どおりの乗り味。日産の主に電気で動くという最新ハイブリッドカーの乗り心地も決して悪くないものでした。そして最後に話のタネにと思ってマツダに行きました。
マツダのスタッフからは、「まずはガソリン車に乗ってみていただき、その後ディーゼルとの違いを体感してください」との話で、言われるままにガソリン車に乗りました。スイッチを入れて走り出した途端に、「オッ、これはなんだ!」と私に中でちょっとした衝撃が走りました。
「すごく運転している感があるというのか、クルマとの一体感があるというのか、運転感覚がびっくりです」。マツダ車に乗ったのは初めてだったのですが、その時クルマとのコミュニケーションとはこういうことかと、決して大げさな表現でなく感じたのです。
家に戻り、さっそくマツダについて調べました。1980年代に企業規模を顧みずトヨタ、日産に正面から戦いを挑んで破れ、90年代は瀕死の状態に。外資の米フォードの支援を受けて復活を遂げて現在に至る、というのがクルマ業界に不案内な拙ない私の理解でしたが、そのクルマづくりの思想までは知りませんでした。