【年末は本を読む!】「定年消滅」時代、雇用の流動化にうまく対応するには?

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働く期間を3区分

   20年には働く人々は70歳までの雇用を保証される見通しというが「ただ目標もなく惰性で仕事をしているだけでは、自らが希望する仕事に従事する可能性は低くなると考えた方が無難」と著者。「人生を通して満足感を持って働き続ける」指針として、たとえば働く期間を3区分して考えることを提案する。

   (1)20~30代後半(2)30代後半~50代後半(3)50代前半~70代前半――が3区分の目安。各区分の期間に応じて、リカレント教育(学び直し)を活用するなどスキルアップを高めていくべきという。

   リカレント教育は、スウェーデンの経済学者により提唱され、経済協力機構(OECD)が取り上げたことで国際的にその意義が認知された。個人の生涯で働く時間が長くなり、学生時代に修得した知識やスキルだけでは変化するビジネス環境に追いつけなくなるため、チャージのための学び直しに注目が高まったのだ。

   国際的には有効性が確認されているにもかかわらず日本では学び直しを実践している人の割合は、各国に比べ極めて低率。英国15.8%、米国14.3%などでOECD平均は10.9%だが、日本は2.4%で平均も大きく下回っている。

   その主因は、日本の企業の長時間労働だ。働き方改革により長時間労働については是正が進む方向。また、近年は、オフィス街にサテライトキャンパスを設ける大学も少なくなく、インターネットを使った通信教育もある。

   企業が進める中途採用の対象は海外出身の人材にも枠を広げて実施される。AIが進化の後には、人間の仕事の一部を代替する可能性が指摘されている。また、人間の平均寿命が伸びるのとは対照的に企業の寿命は縮まってきており、20年以降は、人生で3つの仕事や会社を経験することが普通になることが見込まれている。

   「人生の再設計にもつながるリカレント教育が秘める可能性は大きい」と著者。競争相手が増える雇用が流動化のなかでは、その可能性はなお高まる。

「定年消滅時代をどう生きるか」
中原圭介著
講談社
税別860円

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