朝日新聞社が実施する早期退職の募集が、「あまりにも手厚すぎる」と話題となっている。
【参考リンク】現代ビジネス プレミアム 2019.12.04朝日新聞、45歳以上の「早期退職」募集...... 退職金の「驚きの金額」
同社は2010年度にも「45歳以上で応募すれば60歳までの基本給の5割を支給」という(筆者もいまだかつて聞いたことがないような)手厚い早期退職を募集しているが、今回も「45歳以上で60歳まで基本給の4割支給、60歳までは毎月10万円支給」というお手盛りぶりだ。
朝日新聞の人事制度は完全に破たんしている
たとえば、年収1400万円もらっている40代なら、基本給の4割としても60歳まで毎年400万円ほど受け取れる計算になる。じっくり再就職活動を進めるもよし、貯蓄があれば、そのままアーリーリタイヤ生活をエンジョイすることも可能だろう。
他の大手企業ではなかなかここまでは出せないし、出そうとも思わないものだが、こうした破格の条件からはいろいろな事情が透けて見える。
いい機会なのでまとめておこう。
そもそも「定年までのお給料の半分ほどを払うので辞めてください」と会社にお願いされる人材というのは、生産性が低いどころか(いないほうがマシというレベルで)「マイナス」ということになる。
筆者にはそういう人材が想像できないし、フツーの会社の人事マンもそうだろう。だから、ほかの大手企業では金銭的余裕の有無にかかわらず、上記のような破格の条件はまず提供されることがない。
「へー、朝日新聞ってお金持ちなんですねぇ」と感心している人事部より「そんなにお金積み増してまで追い出さないといけないダメ人間がいるの!? いったい朝日の人事部は今までなにやってたの??」と、呆れかえっている人事担当者のほうが多いと思われる。
もともと終身雇用制度というのは、会社がじっくり時間をかけて価値のあるベテランを育成するために作られたという側面がある。価値あるベテランと真逆の人材を量産してしまっているのだから、朝日新聞社の人事制度は完全に破たんしていると言っていいだろう。