「日本は輸出規制を撤回する」と都合のよい分析も
まず、2020年春に最初の激突のヤマ場がやってくるというのだ。聯合ニュースがさらに続ける。
「日本政府は、現金化が行われた場合に備え、『韓国産輸出品に対する報復課税』『日本製品の供給停止』『ビザの発給制限』などの報復措置リストを既に準備しているとされる」
一方で、韓国国立外交院は日本の対韓輸出規制措置に関して、「韓日間の強制徴用問題の協議に時間がかかっても、輸出規制は事実上撤回される可能性が高い」と分析したという。ずいぶん都合のよい分析に思えるが、その理由について国立外交院は、こう説明している。
「日本の輸出規制は自国企業に被害が及ぶうえ、グローバル供給網の混乱を招くため控えざるを得ない」
というのだ。
また、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)については、韓国政府は終了を延期しているという立場だが、韓国国立外交院はこう分析している。
「(民族主義が高まるなど)韓日関係がどのように展開しても、現実的にGSOMIAの終了の延期を覆し、韓米関係を再び最悪の状況に追い込む可能性は低いとみられる」
北朝鮮情勢が緊迫しているなかで、韓国政府はあえて再び米国を激怒させるような真似はしないだろうというのだ。
一方、聯合ニュース(12月26日付)は韓国国立外交院の発表とは別に、「来年(2020年)の韓国外交 北朝鮮核・韓日関係・韓米同盟など難題山積」という論評記事の中で、日韓関係について、こう展望している。
「GSOMIAの終了猶予や日本の対韓輸出規制強化の一部見直しで関係改善を模索している対日関係も見通しは明るくない。12月24日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と安倍晋三首相が1年3か月ぶりに会談。対話を通じた解決との原則で一致したこと自体に意味があるが、歴史問題をめぐる対立など課題が山積みだ」
「最大の懸案は強制徴用被害者問題だ。両国企業と国民の自発的な寄付金で被害者に慰謝料を支給する文喜相(ムン・ヒサン)国会議長の案が有力な解決策として浮上しているが、両国とも無条件で受け入れることは難しい状況だ」
実際、文国会議長の案は日韓首脳会談の場で、韓国側から提案さえされず話題にもならなかった。聯合ニュースが続ける。
「両国の間で対話が進む中でも、GOMIAや輸出規制、旧日本軍の慰安婦問題をめぐる合意、東京五輪・パラリンピック競技場への旭日旗の持ち込み、福島原発の汚染水放出問題などが持ち上がる可能性がある」
まるで、地雷原の中を歩むような話し合いを続けなくてはならず、聯合ニュースの論評も韓国国立外交院の報告同様、「お先真っ暗」といった印象だ。
(福田和郎)