日本のカジノ「おいしい」のは政治家だけか?
じつは以前から、日本のカジノ誘致に対する海外メディアの反応は少しずつ変わっていました。米国のブルームバーグ通信社が、「A Gambling Prize Worth $20 Billion Is Losing Its Luster in Japan(2兆円規模の日本カジノ市場が、輝き失う)」と題した記事を配信していたほどです。
記事を読むと、日本への参入を切望していた海外のカジノ運営会社の幹部たちが、「果たして、日本へのカジノ参入はおいしいビジネスなのか?」という疑問を抱き始めて、実際に撤退を決めた企業もあるそうなのです。
200億ドル(約2兆2000億円)規模とも見込まれる日本のカジノ市場は、当初は「光り輝いて見えた」ものの、認可プロセスが他国より難しく、さらに税制も不明な点が多い。しかも日本でのIR建設は他国の何倍ものコストがかかることから、「unsavory side of gambling industry(ギャンブル産業のまずい側面)」が浮かび上がってきているというのです。
「投資コストに見合わないならば参入しない」という運営会社CEOのコメントも紹介されていて、いったい誰のためのIR戦略なのかと不思議に思ってしまいました。
それでは、ここで「今週のニュースな英語」です。今回の「秋元氏逮捕報道」に登場する基本的な英語表現をご紹介します。
IR:Integrated Resortの略。統合型リゾートという意味。
Prosecutors arrested the lawmaker, Tsukasa Akimoto
(検察が秋元司議員を逮捕した)
prosecutors:検察
lawmaker, a member of Japan's Parliament:国会議員
arrest:逮捕する
「賄賂を受け取った容疑で」という逮捕理由を後に付けてみましょう。
Prosecutors arrested the lawmaker, Tsukasa Akimoto, on suspicion of taking bribes.
(検察が賄賂を受け取った疑いで秋元司議員を逮捕した)
on suspicion of:~の疑いで
Mr. Akimoto has denied wrongdoing.
(秋元氏は犯行を否定している)
deny wrongdoing:犯行を否定している
Abe government regards the casinos as a way to boost Japan's economy
(安倍政権は、カジノは日本経済を押し上げる策だと見なしている)
boost:押し上げる
海外メディアの報道から、日本の姿を知ることがよくあります。今回の報道を見ると、日本へのカジノ誘致で「おいしい思い」をするのは、日本の政治家だけのような気がしてきました。
2020年も、こういった客観的な海外報道の「見立て」をたくさん紹介していきたいと思います。(井津川倫子)