中国・ アリババの元「総参謀長」が明言「日本で近い将来大きな存在感発揮は難しい」

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   中国の「アリババ」は、しばしば、中国版「アマゾン」として紹介され、国際的には米アマゾンと競合関係にあるEC(通信販売)サイトというのが一般的な理解だろう。しかし、日本版のウェブサイトもある。ただ、利用者は多いとはいえず、知名度とは対照的に「実像」についてはよく知られていない。

   そのギャップを埋める使命を負っているかのように刊行されたのが、本書「アリババ 世界最強のスマートビジネス」だ。著者のミン・ゾン氏は、アリババの「前最高戦略責任者」。氏はまず「アリババは『中国版アマゾン』ではない」という宣言から書き起こす。日本での本格展開はどうなのか――。

「アリババ 世界最強のスマートビジネス」(ミン・ゾン著、土方奈美訳)文藝春秋
  • アリババは、モバイル、クラウドなどで根本的変革を目指す
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1995年にゼロからスタート

   アリババの創業者で会長のジャック・マー氏は、本書の冒頭に掲げられた「序文」を寄稿。この中で、アリババが短期間に急成長を遂げた足跡を振り返り、そして今後について、グローバル社会の進展をけん引していく見通しを述べている。

   マー氏がインターネットに初めて接したのは1995年、訪問先の米国でだった。「中国のビール」と検索すると「まともな情報はゼロ」。このことにショックを受け、帰国したら起業しようと決めたという。まさにゼロからのスタートだったが、猛スピードで成長を遂げ20年ほどで、時価総額で米GAFAを構成するアマゾンやフェイスブックに匹敵する規模を誇るまでになった。

   1995年当時、中国にはネット企業は一つもなかったという。国内の商取引のあり方は「お粗末」なもので、こうした環境が逆に幸いして、テクノロジーの進化を推進力にアリババは突っ走ることができた。

   その先頭に立ったのが著者のミン・ゾン氏。中国生まれ、米国育ちで、欧州最高レベルの経営大学院、INSEAD(インシアード)の准教授だった2006年にマー氏にスカウトされ、「総参謀長」としてアリババに入社した。INSEADはフランスのほか、シンガポール、アラブ首長国連邦のアブダビにキャンパスがあり、そのレベルは欧州だけではなく世界最高ともいわれる。マー氏は「アリババはいずれ、あなたが書きたいと思うような、最高におもしろいケーススタディになるから」といってスカウトしたという。

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