「30代で月48万円必要って、それ贅沢すぎでしょ!」
「いやいや、子ども2人を育てるには全く必要な額です!」
30代で「月48万円」の収入が贅沢か否か、ネット上でアツ~い議論が戦わされている。
京都市に住む「子ども2人家族」が普通に暮らすには
話題のきっかけになったのは、京都地方労働組合総評議会(京都総評)が2019年12月18日に発表した「子ども2人の30代の世帯が、子育てしながら普通に暮らすためには最低月48万円が必要」とする「最低生計費試算調査」だ。
この「月48万円」という数字は、京都市の代表的な住宅地域である伏見区に住む、子ども2人がいる30代の4人家族が、「普通の暮らし」を送ったときにかかる費用を算出したものだ。
ここで想定する「普通の暮らし」とは、30代夫婦と小学生、私立の幼稚園に通う幼児からなる4人家族。43平方メートルの賃貸マンションに住み、家賃は月6万1000円。食費は月11万円2000円(夫の昼食=コンビニ弁当代を含む)。小型自動車を1台所有、クルマの維持費に月3万7000円。教育費は月2万8000円......といった内容だ。
そして、約4700人の組合員の生活実態と所持品を調べて細かく金額を設定した。また、子どもは高校までは公立学校、大学は京都市内の私立学校に進学することを想定、教育費の積み立てなども計算されている。その結果、30代では「毎月48万6913円」(年収約584万円)が必要だが、子どもの成長に伴い、40代では「毎月54万9823円」(年収約660万円)、50代では「毎月70万7536円」(年収約849万円)と、必要額が次第に増えていくと試算した=図表の家計簿参照。
ちなみに総務省の家計調査報告によると、日本の世帯の平均可処分所得(=手取り収入、2017年)は434万円で、30代を含む40歳未満は400万円だ。京都総評の数字「48万円」は税込みの額で、手取り額なら月41万9175円(年収503万円)となる。だから、総務省の平均よりは103万円多いことになる。
「ランドセル新品は贅沢。メルカリで買うべき」
インターネット上では「#48万円必要」のスレッドが立ち、この結果について賛否両論が起こっている。まず、「贅沢すぎる」という意見から――。
「30代で月48万円が『普通』とか、おかしくないですか! ボクら非正規は逆立ちしたって稼げないよ。どこにそんなに稼げる仕事があるの? 労働組合が賃金の底上げのために吹っかけているとしか思えない」
「田舎だと、夫婦揃って夜勤交代制の仕事やっても全然届かない額です」
そして、そもそも算出モデルの生活がぜいたくなうえ、個々の品目の額にも納得できないという多くのツッコミが――。
「食費11万2000円って...かなりやばい。外食が多いのかな。我が家もスーパーで調達できる物だけなら4人家族で6万円以下です。実家が農家なので米や味噌は買いません。しかし、10万円オーバーはないなあ」
「改めて見直すと、ランドセルを新品で買っていますが、6年間しか使わないものだからメルカリの中古品(2000円台からあります)で充分ですよ」
「ノートパソコンが3万4800円で、4年で買い替えだって? もっと長く使えるでしょう」
「通信費高すぎ! 格安SIM(シム)にしろ。テレビの耐用年数が5年? 10年以上使えるわ。どういう基準なのこれ」
「底辺での足の引っ張り合いは、ホント見苦しい」
しかし、全体的には「贅沢と批判するほうがおかしい」という声が多かった。
「月48万円も必要ないわボケ!なんて言わないで、みんなで48万円必要だよ~と言ったほうが給料上がるのでは? 底辺で足の引っ張り合いをしているから、みんなの生活が苦しいんじゃないかな」
「ここが無駄とか贅沢とか、いるとかいらないとか、そういう罵りあいはホント見苦しいよ。私も48万円稼ぎたい!という世の中にならんとダメだよ」
といった声に代表される。
こんな応援エールが相次いでいるのだ。
「『月48万円』が独り歩きしているので、きちんと調査結果の資料を読んでみました。まず、前提として『48万円』は税金や予備費も含んだ数字で、消費支出のみだと『38万円』です。内訳を見ると全然贅沢をしていない。僕らの『普通の暮らし』は『普通の年収』では実現できないものになっている」
「書籍:月800円、ゲームソフト:3年間で1000円、夫の財布と時計:1万円...以下、傘:2年間で650円(1本)、パソコン:4年間で3万4800円。これを『贅沢』と批判するのは違う。日本という国がマクロで貧しくなっている。国をあげて成長戦略を描かないと本当にヤバイ」
「クルマの維持費月3万7000円が高い。せめて、地方在住者の自動車税は減額してほしい。減った税収は、首都圏を始めとした都会の自動車税を増額すればよい。人口の地方分散にもつながるかも」
「世帯年収の話をしているんだから共働きなら1人24万円。30代ならそれこそ当たり前の収入のはずだよ」
「4人家族でしょ、普通だと思った。男性1人に稼いでもらう時代ではないよね~ってことでいいと思う」
「電化製品は概ね設計寿命や減価償却期間で見積もっている。当然これ以上使おうと思えばさらに安くなるが、5年以上使おうとしたら、電気代や修理がかさむ。早めに売って新しいのを買うほうが安くあがる。まあ、突っ込みを入れるほど変なところは、ゲームソフト代がやけに安いこと。たぶん中古で勘定しているのだろう。堅実じゃないか」
「月48万円必要だなんて、志が低すぎる!」
「来年には子供が中学生になり、制服代だけで8万円かかります。プラス鞄やらなんやら。私立じゃなくて普通の公立学校ですよ。税金やら保険やら、差し引くと本当にカツカツの生活でみんな頑張っています。頑張って働く人の給料を見合うように上げろ?」
また、必死に30代を送ってきた年配者たちからもこんな共感の声が――。
「35年ローンで家を買い、車(バン)を一台所有し、子供を大卒までやり、月2ペースで外食、年1ペースで旅行。老人ホームに入るための貯金もしている。48万円は高そうに見えても、子供がいればそうでもないことがわかる」
「今なら年収手取り1200万円くらいほしかったですよ。映画見るときにポップコーン頼んだり、美術館行ってイヤホンガイド借りたり、絵葉書を買ったりとか、上乗せでプチ贅沢をしたかった」
そして、最後にこんな声も。
「しかも今後が平均寿命はまだまだ延びる。なにが月48万円必要だよ。そんな低い意識じゃダメダメダメ! できるオトナは毎月10億円要求!」
(福田和郎)