さて、本日の相談者さんは、先日50歳の誕生日を迎えたばかりの課長、Nさんが、お客様です。何だか冴えない表情ですが、どうされましたか?
「定年まであと10年と思うと、漠然とした不安に襲われるんですよね。」
Nさんは、そう明かしてくれました。
若手の登用で50代は追いやられはじめた
Nさんに話を聞いてみると......。
「現在勤めている中小企業の定年は60歳です。65歳定年の話も出てきているものの、会社の体制自体が整っておらず、話がなかなか進んでいないんですよね。
大きな声では言えませんが、正直、60歳の定年まで何とかぶら下がってもいいから会社にいればいいかなって、心の底では思っていたんですよね。自分が20代、30代、40代の頃に見た50歳の方々はみんなそんな感じだったから。もちろん、会社にいる限りは会社のために働こうって気持ちはありますけど......。
ただ、最近は会社の若返りのために、20代、30代を中心に採用に力を入れていて、何となく50代が追いやられはじめたというか、そんな空気感を感じることもあるんです。
ニュースでも『トヨタの終身雇用難しい問題』など見ると、『今のままじゃマズイんじゃないか』と思いつつも、何をしたらいいか分からないし、という漠然とした不安と言うかモヤモヤに襲われているんです。」
よくぞ、正直な気持ちをお話してくださいました。わたしがいろんな方にお話を聞いている中には、「時代のせいだ」とか「社会のせいだ」とか、他のせいにされる50代の方もいらっしゃいますが、Nさんはとても正直な方ですね。日本人特有の何とかなるだろうという「茹でガエル体質」とも言えますけど。(汗)
では、さっそく厳しくお答えしていきましょう。
まず、不安がどこから来ているのか考えてみましょう。
漠然とした不安を、放っておいては「漠然」としたままです。よくわからない不安を抱えたまま、モヤモヤした時間を過ごすのは、時間のムダ。まずは不安なことを書き出してみましょう。たとえば、
・ このまま60歳まで会社にいるのが不安なのか
・ このまま今の会社にいたいと思っているのか
・ 60歳以降の人生を不安に思っているのか
・ 今のスキルだけじゃ足りない気がするのか
自分のことって、わかっているつもりでも、じつはわからないものです。頭の中でモヤモヤするだけでなく、モヤモヤが何か書いてみて、自分の不安と向きあってみましょう。不安に蓋をせず、この先への不安とか恐怖とか受け入れることが、初めの一歩です。これで考えることから行動に、一歩進めましたね。
あなたは何ができますか?
「あなたは何ものなのでしょう?」
これは、よく日本人の管理職をたとえるジョークとして使われますが、
「あなたは何ができますか?」と聞くと......
「私は部長ができます」
という答えが返ってくるそうです。
ウソのように思いますが、本当の話です。
ここで、一度考えてみてください。あなたは何ができますか? 得意なことは何ですか?
特に新卒から、ずっと一つの会社で勤め上げて来られた方は、転職活動をしていないので、自分のキャリアを見つめ直す時間をもつことがありませんでした。つまり、「キャリアの棚卸」をしたことがないわけです。それはある意味、一つの村の中で生きてきたようなものなのです。
かく言うわたしも、不動産業界から外に出た時は、まったく世界が変わりました。
そこで自分が何者なのか、理解する一つに「ポータブルスキル」を知る方法があります。
厚生労働省のホームページにもありますが、業種や職種が変わっても通用する、持ち出し可能な能力のことを「ポータブルスキル」と言います。
キャリアの棚卸しは時間がかかるので、誰かのサポートを受けることもアリですね。
これからは、個を極める時代
これからは「個を極める時代」とも言われています。副業の流れもありますし、個に磨きをかけることを考えてもいいかも。「50代から?」と思うかもしれませんが、Nさんはまだ50歳ですよ! 寿命を80歳と考えたとしても、あと30年あります。
スキルを極め方において、「1万時間の法則」と言われる話があります。その法則とは、ある分野で100人に1人のトップスキルを持つためには、1万時間を投下するという法則です。
今のNさんに新たなことを1万時間投下すると、100分の1×100分の1で1万人に1人の人材になれるということです。1万時間を長いと考えるか、短いと考えるか――。何もしなかったら、今のNさんのままです。さっそく動いてみましょう!
1万時間が長いと感じた方に、おもしろい記事を発見しました。Lifehackers 2019年5月12日付「1万時間の法則よりもっと大切な事実 スキル習得に学習時間は関係ない」が、それ。「時間より質」ということらしいです。
「個を極めよう」と思ったら、それは30代でも、40代でも、50代でも、早ければ早いほどいいでしょう。わたしも何か新たに極めようかしら......。(ひろ子ママ)